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2016年1月27日水曜日

やまねこ通信344号:1000人・すわで憲法を学んだ、寂寥の夜は灯火を求めて


@@@やまねこ通信344号@@@

1000人・すわで憲法を学んだ、寂寥の夜は灯火を求めて

靴底の下で凍りついた積雪がバリバリ音を立てる。24日
(日)の真昼、茅野の山麓から諏訪に向かう車中の温度計
は氷点下6度を示している。空は曇りで雪が落ちはしない。

会場の諏訪市公民館2階の講義室に1時到着。すでに仲間
の方々が受付設営、資料ホッチキス留めにいそしんでいる。
受付は寒い廊下。

室内では大型ロッカーみたいな暖房機がごうごううなりを
立て会場を徐々に温めている。10分前にほぼ満員。予備
の椅子を運び込む。

「戦争をさせない1000人委員会・すわ」略して「10
00人・すわ」は共同代表3人が女子。ジェンダー平等に
対する男性の理解の深さが伺える体制である。

きてみて!
もう私たち、だまってられない。
――戦争をさせないために、私たちにできること

弁護士・滝澤修一さんに憲法の話を語っていただく。
(長野県弁護士会プロジェクトチーム座長、日本弁護士連合会
憲法問題対策本部事務局)

充実した資料が手元に配布される。
題して、「安保関連法(戦争法)の問題点と廃止に向けて」
目次をみるとざっとこんな具合。

1 安保関連法(「戦争法))、昨年9月19日未明に参議院本会
    議で採決
2 あらためて安保関連法の問題点! 戦争(戦闘・武力行使)へ
    の複数の道
3 憲法9条とこれまでの自衛隊~「憲法違反」と言われながら   
4 安倍政権の「戦争する国」造りのこれまで、そしてこれから
5 日本国憲法の先駆性と最高法規性
6 これからを考える。

主催者含め71人の参加者が、深く頷きながらメモを取った。
会場の中は格別の熱気が立ち込めた。

▲集会の後は、友人や仲間と言葉を交わし会場を片付け、て
んでの方向に向けて散らばってゆく。岡谷下諏訪は茅野とは
反対の方向。足元の氷は靴の裏でガリガリ音を立てる。滑ら
ないことがすべて。一歩一歩大切に歩くといい。

さて、家路に着く前にどこかに腰を下ろして珈琲が飲みたく
なったやまねこ。そうそう、米国グローバル資本のシンボル、
スタバこと、スターバックスが諏訪にできたのだ。

角上から数百メートルの距離。これまで数回訪れて気に入っ
ている。深夜であれ真昼であれ一日中開いていて珈琲ばかり
でなく、チャイ、ティーなどドリンクは多種多様。食べ物は
スコーン、プレッツエルなどイースト菌を入れないパンばか
り。ユダヤ教の食習慣を世界的に普及しているなと推測。美
味しいから売れるのだろう。

スタバは立地によって店内がガラリと違う。諏訪店は広々し
て、小さなスツールから転げ落ちそうな都心の店舗とは様が
わり。庭に面したテラス席でこの前仲間とお茶したが、雪の
季節は閑古鳥もいなかった。

あったかい珈琲カップを両手ではさんでゆっくり過ごす。パ
ソコンを取り出したが、通信はあまりうまくゆかない。一時
間過ぎると外が真っ暗に。さあ、そろそろ。

車のナビを家路に向ける。ごんごん寒さがつのりあたりは真
っ暗になっている。20分ばかりドライブするうち、真ん丸
い月がこうこうと輝いて登ってくる。あまりにも輝かしい月
を見ると、寒さが一層押し寄せる。

なんという感覚だろう。寂寥感という他ない感覚が押し寄せ
る。真っ暗な道筋に白い雪が月の光をはね返している。

諏訪中央病院の前を過ぎると、小さな灯りが見えた。崖の上
の場所。おお、大麦小麦に灯火がついている!6時少し前だ。
ここで一旦、暖まることにしよう。

店の向いの駐車場に車を停める。すっかり雪かきしてあるこ
とにびっくり。道路を横断して店の側にゆくと、そこも雪が
片付いている。して扉の中に。

おネエさん二人でやってるビアカフェ大麦小麦。駐車場雪か
きは二人で頑張ったのだろうか。

驚いたことに、付近の常連のお客さんが黙って朝のうちに済
ませてくださったという。スゴイ美談だね。おネエさんたち
はお礼かたがた名物のビールを手にして挨拶にまわった。
「愛されてるんだね!ご近所に」

夜の定食は塩豚のレンズ豆煮。牡蠣のオイル漬けなどの小皿
が数点。豚肉がガッツリ食べられる。おネエさんふたりはこ
の道何十年の料理専門家ではない。商業美術、外国語修行な
どの前半生があったらしい。

ところが料理の味がホントにうまい。料理人歴、どこそこホ
テル厨房何年との触れ込みの食事所が数ある中で、大麦は美
味さが安定して、サプライズもある。デザートも工夫に満ち
ている。

この日は、スタバのあとだったから、デザートは省略。おネ
エさんの実家小田原の温州ミカンを小分けしてもらった。

また、ランチに来なくては。ランチの食券を買った。
大麦のランチは内容豊富なワンプレートで1000円ポッキ
リのお勧め!

このようにして、1000人・すわ勉強会のあとの晩、満月
の輝きのかもしだす寂寥感を、温かい料理とおもてなしで少
々中和させ、ツンドラとなった道路をガリガリと車を転がし
ながら、やまねこは家路に着いたのでした。



うらおもて・やまねこでした。

2016年1月24日日曜日

やまねこ通信343:Facebookと赤瀬川原平の「世界の缶詰」、炸裂を伝えなくては!

@@@やまねこ通信343号@@@

Facebookと赤瀬川原平の「世界の缶詰」、明日、炸裂を伝えなくては!

▲やまねこ通信をやすんだやまねこはFacebookに入りびた
りだった。
この裏切り者が!
Facebookでは、ネット上の新聞などをすぐさま、自分のペ
ージに転載することができる。そこに意見を書き付けて公
開するのだ。気になる記事を次々と投稿転載してゆくと、
新聞のスクラップをすると同じ作業になる。スクラップブ
ックに切り抜きを貼り付けて保存しようとして永続した話
を聞いたことがない。貼り付けた新聞紙でボコボコに膨ら
み、書棚の空間に収まりがわるくなったスクラップブック
はやがて捨てられる運命だ。

実はFacebookに記事を貼り付けて後で眺めようと思っても、
記事が呼び出せないことも多い。けれど、見出しと日付が
分かれば、後で検索することができる。ネット上の住所URL
と見出しのタイトルを別ノートに記録してもいい。

Facebookでは、様々なネット記事が次々投稿される。幾つ
もの新聞が読めると同じだ。あっという間に1時間2時間
が経過する。その後新聞を開くと、読んでしまった記事ば
かりのような気がする。
けれど、新聞は小さな記事が物を言う。あるいは記事の不
在が何かを物語る。その意味で、配達される紙の新聞は欠
かすことができない。

Facebookでは、友人の投稿に対して、「いいね!」などの
文字や感想を書き込むこともできる。瞬時に反応が帰って
くることもある。この即時性が、魅力なのだと思う。顔見
知りの友人とは限らない。見ず知らずの人と承認しあって、
書き込みを行う。その意味で、公共空間である。友人にな
るかどうかは、自分で選択できる。知人であっても友人の
申し込みをしない相手もある。

息をするように、1時間に何10件も投稿する人がいる。携
帯で送信しているのだろうか。どうやって長文の投稿の文
字入力をするのだろう?外国から送信する人も。

自分で撮った写真を投稿する人が多い。イベントの事情が
伝えられる。一家のバーべキューパーティー、友人との飲
み会なども。
写真の投稿をどうやったらできるのか、IT弱者のやまねこ
はようやく最近知ることになった。携帯写真をファイルに
入れ、Facebookの入力画面で画像取り込みをクリックすれ
ばいいのだ。

▲私的な話題をどしどし投稿する人もいる。職場の中でど
んなことが起こっているのか、固有名詞こそは消されてい
るが、薄い壁を隔てた隣室で起こっている出来事のように
私的な話題がびしびしずんずん伝えられる投稿がある。

毎朝の朝食の写真を掲載する人もいる。かつてなら、同居
する家族以外は知り得なかった内密な事柄が、公共空間に
投げ出されるのである。レストランの食事を写真に写し、
即座に投稿することは今や珍しくもないことだ。やまねこ
は若い友人がスマホの写真をすぐさま投稿した手際の速さ
にびっくりしたことがある。

▲ここで、ふと思い当たることがある。
赤瀬川原平の美術展を見たことがある。画家で作家でエッ
セイストでもあり、「四谷階段」を発見し、建築物に付随
している無用な存在を「トマソン」と命名しては収集愛玩
し、南伸坊というおにぎりおじさん建築史家の藤森照信ら
と共に路上観察という文化研究のスタイルを切り開いた赤
瀬川原平。

美術展のハイライトは「世界の缶詰」というオブジェであ
った。広めの空間にテーブルがひとつ。近づくとその上に
小さな缶詰が置いてある。缶の蓋は開いている。よく見て
ごらん。なんと缶の内側に鮭の絵が精密に描かれているで
はないか!マルハだろうか日水だろうか。

とすれば缶詰の内側が外側なのだ。
すると、この缶詰の中味は!!!

どわ~ん!世界が反転する感覚の中で、逆落としにどこま
でも落ちてゆく思いがした。
缶詰の中味は、ほら、あなたのいるその世界全部なんです
よ。赤瀬川原平が薄笑いを浮かべている。

そのとおり。Facebookは、かつて缶の中に閉じ込められて
いた人々の私生活、内面、プライバシーを、外界に反転さ
せて世界に放り出したのだ。これこそ「世界の缶詰」であ
ろう。

ブログだって同じことだけれど、Facebookは次々と別の投
稿を開くのことが容易だ。陳列羅列よりどりみどりの自由
が街歩きに似ている。それが「世界」の感覚に似ている。

Facebookで松本のゆかりさんが、金曜日東京へ日帰りし
てきた報告をしている。松本猛さんも同行。「選挙で安保
廃止を目指す!~ミナセン(みんなで選挙)」市民勝手連」
(※「ミナセン」=みんなのせんきょとは、その各地で立
ち上がっている野党共闘の市民グループのざっくりとした
「集まり」~Facebookグループ)が主催する全国交流会&
シンポジウムに参加!
とのこと。

長い報告の中で、福島瑞穂さんの「雄叫び」を紹介している。
「安倍さんが参院選に勝てば改憲に。どんな改憲をするか
議論に乗ってしまうとグチャグチャになる。戦争法廃止
自民改憲案にNOで闘っていくべき。アベさんにだまされ
い!」

やまねこはすぐさま、投稿「これがいいね!」

ゆかりさんがすぐに返信。
やまねこさま。みずほ節、炸裂しておりました。

やまねこ「明日、1000人委員会・すわ、第3回勉強会。こ
の炸裂を伝えたい!

ゆかり「大炸裂を期待しております。」

明日1月24日(日)午後2時~4時、諏訪市公民館2階

戦争をさせない1000人委員会・すわ 第3回小さな勉強会

「戦争をさせないために、わたしたちにできること」

滝澤修一弁護士のトークと質疑の集いです。

さあ、一日降り続けた雪が明日はどうなるだろう?
いつもなら30分の諏訪、明日は1時間見たほうがいいか
しれない。



うらおもて・やまねこでした。

2016年1月22日金曜日

やまねこ通信342号:一陽来復、「行方不明の時間」、やまねこと「寒戸の婆」

@@@やまねこ通信342号@@@

今日は青空が広がっている。正月18日になって今年初の
大雪が降った。梅の便りさえ囁かれた小春日和の年末から
正月にかけての日日は不気味な期間だった。まとまった雪
が降ったことでやまねこはほっとしている。大寒である。

9月23日の投稿をもって休眠に入ったやまねこ通信。年
賀状やメールで、その不在に触れてくださる読者がありま
した。ご心配かけています。

やまねこのようなアラセブの歳がブログを長期に休むとな
れば、人々の想像の向かう先はこんなところでしょう。高
齢からくる気力体力の衰え、足の病の再発療養、思いがけ
ぬ転倒からくる引き籠もり、老人性うつ、物忘れのひどさ
が認知症の域に踏み込んだなど。いずれも渋紙色の皮膚を
したやまんばの身にやがて降りかかる症候群であることは
間違いのないところ。いや、もうすでに幾つかを実現して
るかもしれません。

と思う矢先、これら受動的なやまんば症候群と微妙に重な
るかに見えながら、実のところ能動的でもある「行方不明
の時間」という詩に出会う。

これだよ、これ!
これまで幾度、この「行方不明の時間」にやまねこは潜り
込んだことだろう。
               
「行方不明の時間」

人間には
行方不明の時間が必要です。

なぜかはわからないけれど
そんなふうに囁くものがあるのです

三十分であれ 一時間であれ
ポワンと一人
なにものからも離れて
うたたねにしろ
瞑想にしろ
不埒なことをいたすにしろ
遠野物語の寒戸の婆のような
ながい不明は困るけれど
ふっと自分の存在を掻き消す時間は必要です

茨木のり子の作品。

「遠野物語の寒戸の婆」は神隠し物語のひとつ。若い娘が
木の下に履物を残し村から行方不明になる。30年後村に
戻った時は老女になっていた。引き止める親族の手を振り
切って老女は山に戻ってゆく。風のひどい晩だった。その
後、ひどい風が吹く晩に人々は寒戸の婆について語りあう
という。

そんなわけで、この3ヶ月余のやまねこ通信の「不在」は、
寒戸の婆ほどながくはないけれど、寒戸の婆の境位にほど
近いやまねこの「行方不明の時間」なのでありました。よ
ろしくお見知りおきをお願い申し上げる次第。

▲さて「寒戸の婆」モードから、「やまねこ」モードに転
換します。

長野県軽井沢町のスキーツアーのバス事故は気の毒だった。
12人の大学生が深夜のスキーバス転落のため命を絶たれ
育んできた夢と希望が断ち切られた。親族にとっても友人
にとっても諦めきれない思いであろう。バスのブレーキ異
常などは見られず、65歳の運転手の責任が重いとの調査
結果が出ている。

死亡した65歳の運転手は深夜の長距離大型バス運転に熟
練した人ではなかった。小型バスで同じ道を往復する仕事
をしてきた。今回のバス会社では多忙なシーズンの臨時運
転手の立場。65歳になって自信がもてない乗車勤務を前
に「ノー」と言えなかったのだろうか。助手席にはベテラ
ン運転手が同乗していた。ベテランが、予定の高速道ルー
トを中途で下に降り、「訓練」のつもりで深夜の不慣れ道
路の走行を指示したと見える。

規制緩和以後、参入が増えて競争激しいツアーバス業界。
ツアー会社は安く買い叩く。バスを眠らせておくより動か
したほうが少しでもカネになると、バス会社は無理を承知
で引き受ける。乗務員二人制になっても人件費が増えぬた
め、運転手は動けば動くほど時間単価が安くなる。下請け
に過酷な社会の構図がここにも繰り返されるブラック労働。
だからバスを運転した運転手の責任は当然のことだが、彼
自身も被害の一面があるのではないだろうか。加害者にな
らないためには乗務拒否以外になかっただろう。格差社会
の底辺の運転手にとり、乗務拒否は失業を意味していただ
ろう。

▲さて、昨日は、「寒戸の婆」から「やまねこ」モードを
復活する作業をした。
やまねこは何を隠そう、日記を毎日休むことなく書いてい
る。その日に起こった出来事を書き留めないことには気持
ちがわるくて一日を終えることができない。20代前半か
らほぼ連日である。3年連用日記を使う時期が長かった。
この15年はパソコンで書いている。だから、過去のある
出来事を復元したければ、日付をたよりにわりあい容易に
見つけられる。

昨日は、昨年6月以後の日記をプリントアウトした。A4版
表裏に印刷してゆくと5時間ばかりかかった。印刷したも
のに読みふけった。幾人もの「わたし」がみつかる。

▲今年の年賀状は、「一陽来復」を祈念するものだった。安
倍政権の恐れを知らぬ戦争法の採決強行。身近なところでは
周囲の親しい人々の間に、救急車での入院、理不尽な咎めを
受けるなどの被害が相次いでいる。やまねこもそのひとりで
ある。易経の言葉を意訳した言葉を付した。

 太陽が夜の闇に姿を隠し、この世を暗黒が支配している。
 けれど明けぬ夜はない。また再び、陽は確実に昇る。その
 時、雷の一条の光りが、地上に光明を放つ。
本年のご多幸を、お祈り申し上げます。
    
本年も「やまねこ」モードと「寒戸の婆」モードを行ったり
来たりしながら発信する予定です。
どうか、お見限りなく訪問してやってくださいますように。



▲お知らせがあります。

戦争をさせない1000人委員会・すわ 
「第3回小さな勉強会」

きてみて!
もう私たち、だまってられない。
――戦争をさせないために、私たちにできること、
  違憲訴訟ってなあに?

多数の憲法学者が違憲とみなし、数万人のデモが国会を取
り巻きました。しかし2015年9月戦争法が成立し、自
衛隊が世界中に軍事展開する可能性が生まれたのです。私
たちの「平和的生存権」が侵害されています。安倍政権の
立憲主義破壊に対して私たちに何ができるでしょう。今回
は、法制度の側からどんな活動が可能かを学びます。

日程:1月24日、午後2時~4時、
会場:諏訪市公民館2F
   講師:弁護士・滝澤修一さん 
(滝澤修一法律事務所、上田市)
      昭和26年丸子町生まれ。
平成2年度、長野県弁護士会副会長
現在、長野県弁護士会憲法プロジェクトチーム座長
日本弁護士連合会憲法問題対策本部事務局
   入場料:無料
   託児:無料
   
  あさって日曜の日程です。
  諏訪地域の方々、万障を繰り合わせ、足元に気をつけな
  がらご参加くださいますようにお願い申し上げます。

        


  うらおもて・やまねこでした。