ページビューの合計

2013年5月25日土曜日

やまねこ通信275号 ギャップイヤー普及だけでなく、進路変更などで年齢高い学生の就職活動にも配慮して欲しい!

@@@やまねこ通信275号@@@

●大学に合格後、入学する前に一年あるいは半年間、社
会活動、海外旅行などの時間を持つことが奨励されるよ
うになった。卒業単位を取得してから卒業までの間につ
いても同様である。

すき間の期間との意味でギャップイヤーと呼ばれている。
イギリスで始まった制度らしい。
今これが問題になっているのは、制度改革による大学の
9月入学が切っ掛けである。3月高校卒業から9月まで
の期間をどう過ごしたらいいかの試行がなされている。
すでに国際教養大(秋田)が9月入学のため、ギャップ
イヤーを取り入れているという。


学校を離れて旅行、社会活動をすることが、若者の
発展を促す切っ掛けになる積極的な意味があると伝
えられている。

●高校から大学、大学院入学あるいは就職するまでの経
歴に、すき間=ギャップができることをこの国の社会は
ひどく恐れてきた。

新卒の学生はできるだけ年少で均質であってほしい。こ
の企業側の有言無言の意向が、しっかり若者たちに伝え
られている。

結果、高卒で受験浪人、学内で留年、大学生の間に留学
で卒業年度が遅れることは、できれば避けたいことだと
受け止められている。

今日、長期のデフレ経済と就職難の時代にあって、一層
この傾向が強まっていた。大学受験生の「安全志向」「
留学生の減少」などが結果、もたらされた。

この若者たちの傾向を批判的に眺め、いまどきの若者は
挑戦する意欲が希薄だとか、内向きになっていると語る
オトナたちは、この現実が見えないか、見ようとしない
人々であろう。

ところで、今日のようにリストラという名の首切りが横
行する中で、年功序列ばかりが大切にされているかのよ
うな就職受け入れの態勢は、どれほど現実的なのだろうか?

●組織の「ダイバーシティー」という発想がすでに提唱
されている。ジェンダー、年齢、民族、障害、雇用形態
など、多様な背景をもった人々の集まる組織を作ると組
織を活性化される。

初めはそのことで、考え方の食い違いが発生して、一見
組織の効率が落ちるように見える。けれど、やがて、多
様な角度からの提案がまじり合うことで、均質のメンバ
ーからなる組織ではとても得られない商品開発などが実
現し、結局、発展、利益につながってゆくという考え方
である。

●この国の組織は、多様な人材の取り込み、ダイバーシ
ティーに背を向け、結果、新卒男子日本人健常者という
社会を構成する人々の一部だけを採用してきた。

最も効率が良いと思われている「若く強い男性」の集団。
そのとおり、この国の組織は戦争を戦う軍隊モデルの発
想だったのだ。

●ギャップイヤーに個人の発展を促す教育的意味がある
のだったら、個々の人生の選び直しに意味のないはずが
ない。

やまねこがここで強調したいのは、就職を控えた若者の
なかでも、進路変更や退学、再入学を経て、他の学生よ
り高い年齢になって就職活動の段階に到着した人々のこ
とである。

この人々は、同年齢の仲間とは違った経路を孤独に
んだ。その中で自分が追求するものを探し、友人
をつくってきた。大学生活は楽しいことばかりでは
なかった。幾つものハードルを乗り越えた。けれど
そのことで、自分の考えを育てて個性的な人生を歩
み出している。

●ところが、このような学生が、面接にこぎつけても、
「年齢が高いね」と、否定的意味合いの言葉を浴びせら
れると聞く。

企業の面接担当者には、せめて年齢、性別など履歴書の
表層だけでなく、それぞれの志願者の持っている個性の
力を読み取って欲しいものだ。

目に見えない人生経験、履歴書に現れない体験。こうし
た人々の長所を見るために、就職面接は行われるのでは
ないか!

企業も官公庁も、戦争を戦う一元的「軍隊モデル」の組
織ばかりで成功が長続きするわけがない。これはもっと
もストレスの高い組織であり、弱みを見せることができ
ない人々の集団である。

さまざまな経歴、さまざまなタイムスケジュールの人々
を受け入れる企業が増えたら、もう少しゆとりを持って
ものを考え、事態に対応できる人々からなる社会につな
がるのではないだろうか。

あきらめないで別の会社探そうね!
あなたの力を見つけてくれるところがきっとあるよ!

未来の社会が今よりもよくなることに期待を込めて、や
まねこはこんな言葉をなげかけているのですが・・・




うらおもて・やまねこでした。

2013年5月21日火曜日

やまねこ通信274号 橋下発言は「言葉の性暴力」「女性の道具化」、文芸評論家・斎藤美奈子氏の根本的批判


@@@やまねこ通信274号@@@


東京新聞2013515日「本音のコラム」で文芸評論
家・斎藤美奈子氏が、「橋下徹従軍慰安婦発言」を
根本的に批判した。

まずは、コラムをお読みください。
女性の道具化 
 「米軍の司令官に、もっと風俗業を活用して欲し
いと言った」「慰安婦制度は必要だった」
 橋本徹大阪市長の一連の発言は暴言なんてレベル
じゃない。言葉の性暴力とお呼びしたい。
 
「軍人の性的欲求がゼロになるわけがない。何ら
かの解消策を真正面から考えないといけない」
 このような発想は、彼の頭の中が戦前戦中の軍人
や政治家と大差ないことを物語っている。
 
1945818日(玉音放送のわず3日後だ)、日本
政府は全国に通牒を発令し、占領軍兵士向けの「
特殊慰安施設協会(RAA)」を設立した。性の相
手をする女性は「女子事務員募集」などの名目で
集められた。戦中の慰安婦募集も同じような手口
だったのではと思わせる。
 
GHQが拒否したことでRAAは翌年廃止されたが、今
回の橋下&米司令官のやりとりを彷彿させるもの
がある。
 
もっとも与党自民党の閣僚の口から「慰安婦制度
は女性の人権に対する侵害だ」などの発言が出る
のもちゃんちゃらおかしい。つい最近まで河野談
話の見直しに躍起だったのはどの党か。
 
おりしも政府の「少子化危機突破タスクフォース」
とやらが早めの妊娠出産を推奨する「女性手帳」の
導入を企てて総スカンにあったばかり。女性は「性
の道具」か「産む道具」。時代錯誤すぎてヘソが茶
を沸かしそうだよ。(以上東京新聞引用)

●この短い紙面に、敗戦3日後の占領軍兵士向けの
「特殊慰安施設協会(RAA)」の歴史的経過が載っ
ている。
 
占領下の歴史をジャーナリズムや広告を資料として
読み解いたジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』で
やまねこはこの事実を知った。


玉音放送から3日後、政府は占領軍兵士向けの「
特殊慰安施設協会(RAA)」を設立。全国の警察
が、遊郭業者を集めて開業を呼びかけた。

銀座に大きな看板が出された。

「戦後処理の国家的緊急施設の一端として、進駐
軍の大事業に参加する新日本女性の率先協力を求む」

「女性事務員、年齢18歳以上25歳まで。宿舎、衣
類、食糧支給」 

 「貧しいみなりの裸足の女性たちが応募。「水商
売」の経験無しが多く、仕事の中身を聞いて多く
が立ち去る。残った女たちは食事と宿舎より、
「お国のため」に自分の身体をささげることに魅
力との動機であった」。


この場合は立ち去ることができた。けれど、遠隔地
に連れて行かれ、戻るすべがないままに仕事の
内容を知らされたこともあっただろう。

また、家族を戦災で失った女性が、腹をすかせ飢
え死にを覚悟して上野公園の片隅にいたところ、
「あっちに食べ物があるよ」との男性の声に促さ
れて同行、売春に引き込まれたケースも。

戦後でさえこの通りであった。戦中の事情が推
測できるとの斎藤美奈子の指摘は、ズバリ核心を
突く。歴史は繰り返すのだ。


●ちの男女共生ネットの仲間たちは、第7回勉強
会として、

7月20日(土)午後1時半から斎藤美奈子さんの
講演会を開きます。
ポスターをご覧下さい。

7回 ちの男女共生ネット勉強会
文芸評論家・斎藤美奈子氏
茅野で講演!

「日本の文化と男女のモンダイ
3.11後の視点から」

日時:720日(土)開演:13:30
会場:茅野市家庭教育センター
(オギノ付近)
参加費:500円
無料託児付き:申込締切710()
会員無料


主催:ちの男女共生ネット、協賛:茅野市、
茅野市教育委員会

切符販売:今井書店、
問合せ:ふじせ・携帯090-9664-1894

E-mail:kfujise@po30.lcv.ne.jp,




東京新聞のこの記事は、たかこさんからタイ
ムリーにもたらされた。早速コラムをコピーし
て仲間に配布するとしよう。



うらおもて・やまねこでした。


2013年5月20日月曜日

やまねこ通信273号 福島原発告訴団団長、武藤類子さん講演会


@@@やまねこ通信273号@@@

福島原発告訴団団長、武藤類子さん講演会

武藤類子さんの講演会が今日、諏訪文化センターで開か
れた。
http://ameblo.jp/gender-equality-chino/entry-11532745471.html

武藤さんは、東日本大震災、東電福島第一原発事故のず
っと前、チェルノブイリ原発事故の後から、脱原発活動
を開始した。大月書店から著書が出ている。
http://www.fukushima-net.com/sites/content/193

諏訪駅前ニットのお店、「アンの家」中川厚子さんの主
催。会場には70名弱の人々が詰めかけ、スライドを見
ながら熱心に耳を傾けた。

武藤さんの長い活動歴を裏付ける静かな語りに説得力が
あった。どの話も被害を受けた人々が差別されてゆく悲
しい話ばかりである。情けない国、県、東電の姿が明ら
かになってゆく。

会場でやまねこがメモした話題のうち、ほんの一部を次
にお伝えしよう。

●「除染」がどのように行われているだろう?先日、NHK
のニュースで、除染の無効が報道された。計画区域の9%
のみ完了している。けれどその77%の地域で、放射性濃
度の数値が除染前とほとんど変わっていないという。

除染で取り除かれた土などは青や黒のフレコンバッグに詰
め、土地所有者の敷地内に置かれる。自分の家には近づけ
たくないものだ。すると隣家に近くに置くことに。

●除染作業員の服装は、薄いマスクに薄い手袋だけである。
「あまりに大仰な装備でのぞむと、福島県の人を傷つける
から」と県が興味深い説明をしている。

●学校では「もう、大丈夫!」との「安全キャンペーン」
が子どもたちに与えられている。学校の副読本には放射能
の有効活用の話ばかりという。

●比較的放射性濃度の低い土地が、汚染物質焼却施設の敷
地に選ばれた。ここで樹木などを償却し体積を小さくする
ことが目的。地権者(30人)だけに秘密の相談があり、
工事が開始され、基礎ができたところで人々の知るところ
となった。

その土地は隣のいわき市の水源地。黙ってはいられない。
環境省にも反対を申し入れる。すると地権者の2/3が賛成
を翻した。ところが村長が切り崩しにかかった。

工事は再開された。環境影響調査はしないままである。な
ぜなら、1時間200kg以上の焼却場にはそれが必要だ
が、問題の所では、1時間199kgに抑えたためである。

数字の辻褄合わせのトリックを、環境省が指示していると
いう。

●広島の原爆被害者は、2.5km以内、1ミリシーベル
ト被爆の可能性ある人々と制限が課された。けれど、福島
では、被曝の数値ではなく、行政区分で基準が課されてい
る。被災者は分断され、仲間を失って孤立してゆく。それ
を見計らって行政がアプローチする。

IAEAの閣僚会議が先ごろ福島で開かれた。IAEAは、原発
を世界で推進するための国際組織である。チェルノブイリ
事故の後、世界保健機構WHOIAEAは協定を結んだ。

健康被害が現れても、双方(WHOIAEA)の合意がないかぎ
り発表しないというものだった。だからチェルノブイリ事
故以後に発生した子どもや動物の被害は、発表されなかった。

●武藤類子さんらは、福島原発告訴団を結成した。刑事告訴
なのに、加害者である東電は強制捜査も受けていない。勝俣
会長、清水社長らは任意聴取である。

被害を受けた人々が自分で申し立てしているのに、検察は加
害者の証拠隠滅を放置黙認している。


こんなことが許されていいのだろうか?

この先を、ひとりでも多くの人が見守らねば。

武藤さんの静かな語りが諏訪地域の市民の心を打ちました。
新鮮な野菜が福島の人々にとって、いちばん有難いとのこと。

信州の野菜が送れるといい。

そうして、参院選の一票を大切にしなくては!


うらおもて・やまねこでした

2013年5月11日土曜日

やまねこ通信272号 参院選対策「女性手帳」の導入検討!?何か変じゃない?


@@@やまねこ通信272号@@@

「女性手帳」の導入検討!?何か変じゃない?

●自民党政権が「女性手帳」の導入を検討してい
るという。妊娠・出産に関する知識を深めるため
という。何かおかしくない?おかしいよ!

●まずは時事配信、長野日報の小さな記事を:
政府は10日、妊娠・出産に関する知識を深めても
らうため「生命と女性の手帳」(仮称)を導入す
る検討に入った。少子化の要因として晩産化が指
摘されていることを受け、30歳代後半になると
リスクが高まることなどについて、地方自治体を
通じて手帳を配布して啓発を図る方針だ。これに
関し、森雅子少子化担当相は10日午前の記者会見
で「妊娠や出産という人生の選択を国が押し付け
ることでは全くない」と述べ、あくまで学術的地
検の普及が目的であることを強調した。
(以上、引用)

●何が、おかしいのか?

高齢出産のリスクが、確かに近年の医学的知識と
して警告されている。これは重要な知識であり、
女性のライフサイクルに一定の影響を与えるだろ
う。

●けれど、生命の再生産の全体から見るなら、ど
れほど重要でも、このことは問題全体の一部でし
かない。

生命の再生産は、果たして、女性だけが行うもの
だろうか?

小学生も知っている生殖の原理。
生命の教育の第一歩は「男性の精子と女性の卵子
の結合によって受胎する」ということ。

この、生命誕生における、男性の役割が「女性と
生命の手帳」には、抜け落ちているのである。

女性の身体に起こる妊娠・出産に、男性の関わり
と責任を問わないままでは、むしろ手帳の配布に
よって、生命の誕生への誤った理解を強化するだ
ろう。

●むしろ必要なのは、「男性と女性のための生命
の手帳」である。配布すべき対象は、女性もさる
ことながら、むしろ男性である。
そこには何が書かれるべきか?

第一に、性的関係における、相互の人格尊重であ
る。DV,セクシャルハラスメント、レイプを見逃さぬ
ための、社会的約束の強調はどれほどしてもしす
ぎることはない。

第二に性行為に関わる病気感染と妊娠の知識、正
しい避妊の知識である。望まぬ妊娠の後に中絶を
して、その後、不妊症になるケースが多いと聞く。

女性の高年出産よりも、中絶後の不妊リスクを、
しっかり警告してもらいたいものだ。

薬店の店先で日光を浴びて販売されている安売り
のコンドームは、ピンホールが多くて避妊効果が
低下していることも聞く。

問題は、多数の若い世代が、病気と望まぬ妊娠、
中絶の中に放置され、それが不妊症にもつながっ
ていることだ。

「若い世代」が何歳なのか?その低年齢化を親た
ちの世代は常に遅れて理解する。

厚生労働省、文科省は性的経験の低年齢化、それ
に中絶とその後の不妊化の実態をどれほど把握し
ているのだろうか?

●「少子化」の不安に怯えて、女性の妊娠最適時
期を女性に広報する。一見、気の利いた対策と見
えるかもしれない。

けれど、すでに述べたように、「女性手帳」は、
むしろ生命再生産における男性の役割を見えなく
し、その責任をあいまいにすることに力を貸すだ
ろう。


家父長体制下では、子どもは「家の財産」であ
り、個人につくるつくらない、いつつくるなど
自由は与えられなかった。

今日では、こどもは個人の自発で作る作らない
決定し、カップルが協力して育て、社会全体
が支援すべきものである。

自民党の次世代政策には、このことが抜け落ち
いる。男女共同参画基本法の理念に逆行して、
倍政権の「女性の活躍」演説では、「三歳ま
でお母さんがしっかり育てる」ことが盛り込ま
れ、女性の「3年間育休」が提言されている。

その通り、安倍政権は、いまだに、子どもは「
女の問題」と考えている。

自民党長期政権下では、「女が子どもを産みた
らないから困ったもんだ」と片付けられ、「
少子化」問題を先送りにしてきた。

先進諸国はどこでも、子育てのための、保育園
充実など、社会のインフラを充実させ、カッ
プルがともに育児をすることで、この30間、
子どもの数をすこしずつ増やしてきた。

安倍政権は、この先例をどう見てるのだろう。
このままでは、さらに対策が遅れる。

現政権の、子育て政策の体質が古いことを「女
帳」がまたしても明るみに出す。

このことに気づかなかったのか?
それとも、党内で批判できないのか?
経歴の立派な森雅子少子化担当大臣!
目を覚ましてくださいね!


うらおもて・やまねこでした。


追記:産経新聞ウェブより:


女性の妊娠・出産には適齢期があることなど

を国民に広く啓発するため、内閣府の「少子

化危機突破タスクフォース」が導入を検討し

ている「女性手帳」(仮称)をめぐり9日の
参院内閣委員会で新旧の少子化担当相が火花
を散らした。

 質問に立った民主党の蓮舫元少子化担当相
は「全女性が対象ならば非常に危険だ。例え
ば同性愛者は手帳をどう受け止めるのか。結
婚や出産をいつするのか、しないのかは個人
が決めることだ」と批判した。