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2016年3月15日火曜日

やまねこ通信346号:雪が降ってホッとした!ご近所の助け合い

@@@やまねこ通信346号@@@

この3日ほど雪が降り30センチばかり積もった。気温は
氷点下1、2度。氷点下10度に慣れ親しんだ身には暖か
く思われる。雪は水を含んで重たい。

2月末から3月上旬にかけ、春を思わせる陽気が続いたか
ら不気味だった。このままでは済まない。きっと相当の雪
がふるぞ。こう身構えていたから、雪が降ってホッとして
いる。30センチほどの雪なら、水を含んで粘りけある雪
が電線に降り積もりその重みで電柱を引き倒して、20時
間以上の停電につながった10年前の事故が再現するので
はとの心配もしなくていいのだ。

雪深い土地に生まれ育ったやまねこは、雪が降ると気持ち
が引き締まる。雪道の歩き方は乾いた道を歩く時と違う。
屋根に積もって凍りついた雪は、気温がゆるむと恐ろしい
音を立てて地面に落下する。

ガリガリガリ、ドサドサドサーの豪音と共に家が揺れた。
住みだして2年目の大雪が融けた時だった。大きなクマが
屋根の上で暴れたかと思って天井を睨んで身構えたことを
思い出す。

その後急ぎ外に出て落ちた雪塊を眺めた。屋根の上で幾度
もの新雪に押しつぶされた古い雪は凍りついて透き通り氷
でできたコンクリートブロックさながらであった。長さが
1mを超すものもある。高いところからこのカタマリが落
ちてくるのだ。頭に当たったらひとたまりもない。

気温がそれほど低くない豪雪地での屋根の雪はこんな氷塊
はならないと思う。それでも雪国の新聞には、雪かきの
に屋根から落ちる事故、屋根に降り積もった雪に頭を撃
れての死亡事故が毎年あとを絶たなかったことを思い出
す。

▲やまねこは茅野市郊外の別荘地に住む。
夏は28度より暑くなることはないからクーラーは要らない。
夏だけやってくる所有者が多い。快適な別荘暮らしを求め
てこの地に移り住んだのではない。職場への通勤が目的で
あった。

街中の住宅地でもよかった。けれどゴミ収集の時間が制限
され町内会で交代の当番をすることを見聞きして二の足を
踏んだ。また早朝4時ころからの雪かきを共同で行う地域
もある。今の住まいでは、ゴミステーションがありいつで
もゴミを出せる。雪が降れば除雪車がやってくる。対価と
して管理費を支払っている。

移り住む時に最も気になったのが、冬支度だった。氷点下
10度15度になることを聞いていた。だからできるだけ
市街地に近い区画を選んだ。年中居住する人に冬の事情を
聞いた。「何も特別なことはいりません。街中と同じで石
油ストーブで大丈夫ですよ」。これで決まりだった。

今の場所に住む前、やまねこはアパートや集合住宅(マン
ション)に住んでいたが、その頃は住居付近の知人はゼロ
だった。ところが増改築を済ませて引越しすると、あっと
いう間に近所に友人ができた。散歩する折にも知人ができ
る。

▲やがて市役所の発行する「広報ちの」を配布するグルー
プに誘われた。今は月1度だが2年前まで月2度だった。
散歩する道すがら「広報ちの」を配布する。いつもの散歩
が地域でのボランティア活動になるからわるい気持ちでは
ない。知人が増えてさまざまな暮らし向きが見える。グル
ープは年に一二度お茶の会を開いて交流している。その中
で友人が見つかることもある。
親しくしなくてもいい。顔見知りであることが大切だ。こ
のグループは当たり前だが毎年高齢化してゆく。
そろそろ限界集落との声も上がっている。ざっと見回した
ところ後期高齢者が半数ではないだろうか。
町内会はない。

▲ゆるやかな友人のつながりを少しづつ作っている。
どんなことができるだろう。地震や大雪の折に無事を確認
し合う。車がないと不都合な地域だから故障の折などに用
件を引き受ける。一人で病気になった時に電話連絡を受け
る。そのために一定のプライバシーを共有する。長期の旅
に出るときはあらかじめ知らせる。
こんなことを申し合わせる仲間を少しづつ増やそうと思っ
ている。

ギブ&テイクの関係というより、ささやかだけど、ギブ&
ギブの関わりの始まりである。
いや、やまねこはもう、これらのお世話を受け取っている
のだ。
大雪で停電したとき、ストーブを燃やす家に迎えてくださ
ったよしこさんご夫妻、松葉杖を使用した時期、買い物に
同行したちづこさん。眼科で白内障の手術をした時の送り
迎えをしたたかこさんら。

この輪が今後広がってゆくことを楽しみにしている。


うらおもて・やまねこでした。



2016年3月14日月曜日

やまねこ通信345号:縄文の里のママたち「原子力より、原始力!!」のキャンドルの夜

@@@やまねこ通信345号@@@

縄文の里のママたち「原子力より、原始力!!」の夜、
「東日本壊滅寸前だったのに、どうして再稼働なんかできるの?」、

5年目の3.11を迎えた。
5年前のやまねこは諏訪税務署で確定申告の書類に数字を
書き込み提出しようとしていた。その時だった。建物の床
がゆらゆら大揺れにゆれてゆれてなかなか収まらない。変
だな。諏訪湖の堆積層の上で地盤のゆるい諏訪市で地震に
遭ったのは不運だな。一旦収まったかに見えたのに、揺れ
がまたしても始まり、いく度か繰り返してようやく終わっ
た。あたりの人々の顔にはさほどの緊張感はなく揺れが収
まったことにホッとしているようだった。

屋外に出て車に乗った。近所に住むたかこさんに電話した。
何事につけ連絡を取り合う間柄。電話の向こうの彼女の声
が緊張している。

「東北で大地震が起こったらしいの。テレビつけてるけど
真っ黒い津波が内陸に押し寄せて車が転覆して大変なこと
になってる!」
急ぎ家に戻りテレビをつけた。画面に映る思いもよらぬ光
景に言葉を失う。津波の黒い前進が農地ににじり寄ってど
んどん浸蝕してゆく。やがて東電福島原発の事故が伝えら
れた。福島はたかこさんの母上の故郷だ。テレビに釘付
の日々が始まった。

▲今年16年3月11日。キャンドルナイトスタンディン
グが開かれる。気温零度未満の茅野駅前にテントが張って
ある。

若いママたちが凍てつく夜、子ども連れで三々五々参加。
こんなことがあるんだ!足元に小さなキャンドルが幾つも
並べられている。子どもたちが灯火の間を走り回る。ママ
たちが追いかける。
駅の高い屋根から下げられた太母神・仮面土偶の巨大な像
がママたち子どもたちを見下ろしている。
「原子力より、原始力!!」縄文の里ならではの説得力が
ある。

子育てママたちの先輩、元地方議会議員のちよこさんが挨
拶した。「民主主義ってなんだろう?こんなことをずっと
考えてきました」。

町会議員をしてた頃、選挙では公約してないさまざまな事
柄をどしどし決めようとする議員たちがいた。それは選挙
民が了解してないよと異議を唱える。すると、「選挙で負
託を受けてるからいいんだ」と押し切って行く。「違うん
じゃないかな?」ちよこさんは違和感を覚えた。選挙で当
選したら何をしてもいい。「それはおかしいよ!」

ここで聴衆のやまねこは思い当たった。ちよこさんが先を
語るまでもなかった。彼女の感じた違和感は、今日安倍首
相の政治姿勢に感じると同じ違和感だ。選挙で議会の多数
派になったら、選挙公約にしてないのに何をしてもいい。
多数決で決まりだとの姿勢。この姿勢に対する違和感と同
じだ。

「民主主義って何だろう?結局、選挙民の人々の考えを細
かに聞いてとことん話し合ってゆくしかないんじゃないか
な?」。選挙で過半数をとったから、形ばかりの審議をし、
あとは採決すれば一丁上がり~の姿勢とは、民主主義って
正反対の活動ではないのだろうか?

寒くなったので、テントに戻りストーブに手をかざす。ち
よこさんがやってきた。

東電福島の「原発事故は、もう少しで東日本が全滅すると
ころだったのに、奇跡的に収まったの。それなのに、どう
して再稼働なんかできるの?」
石油ストーブの炎が照らすほの明かりの中、腹の底からの
疑問である。何を考えてるんだろう?
不思議でならない。やまねこも同じ思いだった。

東電・経産省・原子力を取り巻く国の委員会。それらをめ
ぐる情報が頭の中で駆け巡ってひくひく動く。けれど、
この疑問はそれとは別の疑問なのだ。誰にも答えられない。
テントの中の数分は別の時間が流れていた。

▲「このままだと東日本全壊、日本全体がひどいことになる」。
3.11から始まる東電福島原発事故。メルトダウンした1号機
と3号機が水素爆発した。二つともベントをして圧力を抜い
たあと。だから原子炉の爆発は避けられた。

2号機もメルトダウンした。ところが2号機ではベントしよう
にも放射線濃度が高くて接近できず作業ができない。吉田所
長は作業員から犠牲者を出さないことを選んだ。作業員の命
を軽くみたら、住民の命を軽く見ることにつながる。東電本
店から「ベントを早くしろ」と、指令ががなり立てる。なす
すべがなかった。

このままでは原子炉が爆発し高濃度放射能が空中に散乱する。
核爆発と同じだ。日本地図が広げられる。200キロ圏内に
千葉埼玉が入る。300キロ圏内には東京全域と神奈川が入
る。そこに人が住めなくなる。首都が消えるということだ。

ところが2号機の圧力が次第に下がった。原因はいまもって
不明である。2号機の隙間から高濃度放射性物質の気体が漏
れ出したためであろうと推測されている。けれど何が起こっ
たのか中に入って調べることができない。そのまま5年がたっ
たのだ。

首都圏が人の住めない地域にならなかったのは偶然の出来事
で運がよかっただけなのだ。

2号機原子炉建屋周囲の免震棟司令室の様子がドラマ仕立て
で放映された。昨晩3月13日夜『NHKスペッシャル・原発メ
ルトダウン 危機の88時間』。

「世界最悪の原発事故、放射性物質の大量放出、世界が震撼
した!」とのナレーションが流れる。

 世界がかたずをのんで見守った。その視線は今も続いてい
る。東電福島事故以後脱原発にシフトしたドイツなど、政策
転換や見直しを図った国々が幾つもある。

ところが、安倍政権下の日本では、再稼働が当然のように語
られている。2030年の「ベストミックス」では、事故前
の割合より少し低めではあるが原発比率20%程度が維持さ
れている。

原発の新基準が作られた。ところが福井県の高浜1号機のよ
うに40年を超えた原子炉までが継続使用可能になっている。
何をもって世界で一番厳格な基準と言えるのだろう?

ほんとうに不思議である。世界が震撼した東電原発事故以後、
この国ばかりは課題に向き合うことなく、むしろ課題を隠蔽
し先送りしてオリンピック招致で浮かれようとしている。

政権の頭がおかしい。
政権が精神を病んでいる。
その政権を大メディアが支えている。
人々の頭も日々汚染されてゆく。
首を横に振って、恐ろしい日常性を頭から振り払うだけで精
一杯との気持ちになる。

この中、新しい動きが始まっている。
3.11夜のママたちのキャンドル集会。諏訪地区に住むママた
ちと知り合ったのは松本市で開かれた集会だった。「信州市
民連合」を根っこで支える40代50代の集まり。市民活動
の確かな手応えに出会うことができた。ゆかりさん、修一さ
んらに感謝!

そうして、ちの男女共生ネットの仲間たち・・・



うらおもて・やまねこでした。