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2012年2月27日月曜日

実現してしまった23年前の予言、映画『あしたが消える』


@@@@やまねこ通信186@@@@

映画『あしたが消える』(原発を考える映画人の会・
カラー55分)は、19868月チェルノブイリ原発事故の
3年後に作られた記録映画である。

当時、全世界が原発事故に対する恐怖を抱いていた。
一方でこの国は、バブル経済のはじける2年前だった。

1989年、「豊かな国の日本、平和で豊かな暮しをして
かに見える」とのナレーション。
ところが原発の建設が進み、高速道路には核燃料が輸送
されている。原発内では作業員が常時被曝していた。

この映画を見た広瀬隆は嘆く。
「どうして、日本は、22年前のこの時に、“原発問題”
を、解決しておかなかったのだろうか」


今、この映画に描かれた原発作業員と同じ条件の汚染地
帯に、福島の子どもたちが暮らしていることを、私たち
は忘れるわけにゆかない


この映画を見ると、福島の子どもたちが、どんな過酷な
状況下に住んでいるかが分かります。



渚で遊ぶ母と二人の子供たちの光景。

1964年の映画『渚にて』を思い浮かべないわけにはいか
ないだろう。第3次世界大戦の原水爆による戦闘のため、
地球上の北半分は絶滅し、死の灰は南半球にも迫ってい
たとの設定のSF映画。

http://movie.goo.ne.jp/movies/p6581/comment.html

●原発技術者の父が52歳で亡くなった。その死を、受け
容れがたく思った娘は新聞に投稿した。葛西真紀子さん
26歳二児の母。

朝日新聞への投稿が掲載された。
「父は、日本の原発は二重三重の安全装置があるから絶
対安全だと言っていた。父の言葉に、私は、原発は絶対
安全なものだと信じてきました。その父は、骨癌で入院
して、四ヶ月であっという間に亡くなった。今、原発は
安全、を信じようとする従業員の信頼に本当にこたえて
いるのでしょうか」。

父は入院後まもなく下半身麻痺。真紀子さんは原発と関
係ないのだろうかと考える。国内にある38基の原発。父
は第1号から20年間すべての建設と保全にかかわってきた。

投稿が掲載されてから何通もの手紙が来た。その中に、
「原発に反対するのは、父を否定するようで苦しい」と
の真紀子さんの考えに対し、「むしろ、父上の死を無駄
にしないことになるのではないか?」との手紙が来た。
この考えに導かれ、市民グループに参加し真紀子さんの
勉強が始まった。

「父の死んだ原因を知りたい」。チェルノブイリ事故の
ようなことは日本にもあるかもしれない。

父は語っていた。「危ないと言われても、原発は必要だ。
最先端の技術だ」と。

19793月米国スリーマイル島事故。炉心のメルトダウ
ン。燃料は容器内に止まった。
今でも動植物の奇形が相次ぐ。大きなタンポポが咲く。

19868月チェルノブイリ原発事故。広島型原爆の500
倍の放出。10か月火災。記録映画を撮った監督は死去。
30キロ圏内永久居住禁止区域。
ヨーロッパに深刻な影響。ラップランドに死の灰。トナカ
イ廃棄処分。

1988年、福島4号炉の欠陥を、製造にあたった田中三彦
氏が告発する。10年前より欠陥があったが隠されていた。
円形の原子炉を製造中に楕円形に押しつぶされた。そこで
ジャッキで整形。200トンのジャッキを円筒内に数本いれ、
高熱にして形を調えた。ジャッキの当たった部分が後遺症
になって残る。老朽化すればそこから故障が起こりうる。

891月、第二原発3号炉、圧力ポンプ内に金属片が落ちる。
電力会社は二重三重の安全装置と言うが、機械は必ず壊れ
るもの。ところが、危険を示すアラームが無視されている。
このことが問題だ。
原発を作るにはどのメーカーも2~356年かかる。必ず
知られたくない問題が起こっている。

葛西さんの父は語っていた。「危ないから二重三重に安全
対策をしている。だから絶対安全だよ」。

この言葉に「私も裏切られた。父も裏切られた」と真紀子
さん。

●チェルノブイリ事故を片付ける作業員の姿が映し出され
る。この事故はどうやって、収束したのだろう?
1に愛国心、2に放射能に無知な人々が活動したのだった。

日本に同じことが起こったら、どちらも期待できない。誰
が止めに入るだろうか。

――この懸念は実現している。「冷温停止」宣言の後に、
2号機が原因不明の高熱(70℃)を計測した。けれど誰もそ
こを調査することは出来ない。
さらに放射能の危険に無知を「装った」政府が、危険がない
かのように振る舞っている。

●原発労働者は被曝の不安があり、放射線手帳を所持して
いる。一般人の50倍の放射性濃度を受けることを余儀なく
されている。本当なら、アラームメーターを携行しなくて
はならない。しかし3時間でメーターがパンクする。

燃料棒の交換が最もつらい仕事だ。温度が高い原子炉の中
でマスクをかぶるから体中から汗が噴き出してどろどろに
なる。労働者たちはアラームを持たずに入る。被曝しすぎ
ると働けなくなるからだ。

それだけではない。この労働者たちは、被曝しても補償さ
れることがない。

広島長崎の被爆者を調査研究した村田三郎医師は、原発労
働者も同じ症状を示していると語っている。
8年前の原発労働者の実態調査101名中、8年間で死亡者10
にのぼぼり、労働者のプライヴァシーを保つため、追跡調
査は困難である。

村田三郎医師は、真紀子さんに語る。
父上が入院したときのがんの始まりが、どこかは分からない。
「腎臓かもしれない。手術しても手遅れ。炉心に近いとこ
ろで働いていた。被曝によって起こった可能性が大きい」。

●青森県三沢基地に近い青森県六ケ所村には、核燃料リサイ
クル施設がある。射爆場が付近にあり、活断層もある。

乳牛農家の人々が立ち上がった。事故が起きたら「六ヶ所」
ではなく日本の問題になるのだ。

――この言葉も実現した。
  事故が起こったら、「福島」ではなく、日本中が問題に
  なったのだ。

フランスのラ・アーグ、イギリスのセラフィールド。
日本からも再処理に送っていた。貯蔵プールで冷却し続ける。
ウランからプルトニウムを分断。再処理後の高レベル理論的
には廃棄物をガラス化する。その後何万年、何10万年の間、
管理し続ける必要。

セラフィールドでは250キロ、羊の汚染、子どもの白血病が
平均の10倍。

真紀子さんの父は語った――「今の生活を維持したいのなら
危険でも原発しかない」。

真紀子さんは思う。「捨てても暮らしてゆける、クーラー付
けてテレビ見て、自分が楽しい思いをしたら人が死ぬ。自分
の快適さのゆえに死ぬ人がいることを考えよう」。

世界は原発、廃止の方向に向かっている。ところが一方、日
本は13基が建設中。

果たして原発が、真の豊かさと幸福につながるのか?

●実現してしまった23年前の予言、映画『あしたが消える』。
チェルノブイリの放射性物質が流れる図と、福島で原発事故
が起きた場合の汚染予測の地図。

重ねられた2枚の地図を見るだけで、この映画を見る価値は十
分にあります。

●上映日時、310日 1回目午前 10時~12
            2回目午後13時~15
 会場:茅野市家庭教育センター 2階
 入場券:1000円販売中
小学生無料
中校大の児童生徒学生および障害者、500円

託児所あります。

 主催:映画「あしたが消える」上映とお話の会
 
今井書店、平安堂書店でも販売中。早めにお申し込みください。
 

うらおもて・やまねこでした。

6 件のコメント:

  1. ご無沙汰してました
    有意義な計画、素晴らしいです
    3月11日に、大船渡で犠牲になった同級生の墓参り(分骨)に参加しようと思ってます
    お互いの思いを達成できたらいいですね~

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  2. やまんばさま。

    いつもながらまめでおられるね。
    見逃せない映画ながよ。
    あんたはんの3.11は大船渡ながけ。
    また話聞かせてったはれ。
    きいつけて行ってこられよ!

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  3. な~ん富山に分骨されたがやと~

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  4. あれ~、そいがけ。
    富山のっさんと結婚しとられたがだろかね。
    それとも父の家の墓に入られるがだろか。
    でも遺体、見つかったら決着ついたろわいね。
    行方不明のままだったら、遺族らっちゃ、なあん、
    居ても立ってもおられんちゃ。
    よお、参ってあげてったはれ。
    あれ、なむ、はや!

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  5. 大船渡の男性と富山の女性が、関東方面で知り合って
    大船渡で暮らして居られがです
    一緒に居って、手をシッカリ握っていたのに
    そして夫君も気を失い~しかし奥さんだけが帰らぬ人に
    夫の家の墓と、彼女の実家の墓に分骨されたのだそうです
    ちなみに、お子さまは、居られないそうです

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  6. やまんばさま

    「一緒に居って、手をシッカリ握っていた」と聞いて、漢文の時間に読んだ一節を思い浮かべました。

    「天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝とならん」。
    中国唐代の詩人白居易(=白楽天、772-846年)の長編叙事詩「長恨歌」の中の有名な一節。
    安碌山の乱が起きて都落ちすることになった玄宗皇帝が最愛の楊貴妃に語ったと伝えられている。

    こう思うのは、皇帝に限らないと思います。
    なかなか聞かれない話だけれど。

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