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2012年3月4日日曜日

福島から避難の子供が保育園入園拒否される(甲府)、「NOと言えない日本の主体」昨年茅野市でも


@@@@やまねこ通信187@@@@
  
●「冷温停止」を発表した野田内閣。その後は消費税増税
論議に焦点を絞り、原発事故の対応は、若い細野原発担当
相に丸投げの模様。

反発の多いことが容易に予測される消費税増税を、今のこ
の時期に「不退転の決意」で主張することは、一種の原発
事故隠しではないかとの推測を可能にするだろう。

福島第一原発事故調査・検証委員会中間報告が発表された。
この報告は、菅首相が非常時においてどれほど不適切な行
動をしたかを強調することに終始している文書だったとの
評価に、やまねこも同感である。

けれど報告の発する菅首相不適切論の臭気が、あまりに濃
厚であるがため、かえって不自然な印象を残し、何らかの
作為が加えられているのではないかとの感触をこの報告は
与えてしまった。報告を作成した人々は、果たしてこうし
た文書の発する臭気に気づかなかったのだろうか?

果たして一般の市民の目線で通読し、その印象を点検する
手続きを経たのだろうか。やまねこはこのことが不思議で
ならない。

●こうする間に、子どもたちの暮らしに幾つもの苦難が降
りかかっている。

<風評被害>福島から避難の子供、保育園入園拒否される
人権救済申し立て/山梨毎日新聞 33()855分配信。

「福島県からの避難者が東京電力福島第1原発事故による
風評被害を受けたとして、甲府地方法務局に救済を申し立
てていたことが分かった。福島から避難してきたことを理
由に、人権を侵害されていた。同法務局が2日発表した。

同法務局によると、申し立てた避難者は、自分の子供が住
宅近くの公園で遊ぶのを自粛するように、近隣住民から言
われた。更に、保育園に子供の入園を希望したところ、原
発に対する不安の声が他の保護者から出た場合に保育園と
して対応できないことなどを理由に、入園を拒否されたと
いう。

同法務局は、避難者が相手への接触・調査を希望せず、地
域への啓発を強く希望したことから、風評に基づく偏見や
差別をしないよう呼びかけるポスターを掲示。また、自治
体広報紙への広告掲載や自治会でリーフレットの回覧を依
頼するなどの啓発も実施した。【水脇友輔】

●「原発に対する不安の声が他の保護者から出た場合に保
育園として対応できないことを理由」に断ったとの記事。

「福島からの被災者たち」を、「事故を起こした原発」と
同一視するような無知な偏見が保護者たちから出たら、そ
の時こそ、保育園が地域教育の一翼を担う絶好の機会であ
ったのではないか。原発事故での被災者発生、別の地域へ
の被災者の移動というこの国の前代未聞の事態を前に、う
ろたえる保育園の、あまりにも貧困な「事なかれ主義」が
前景に出てしまった。

保護者からこんな意見が出る前から、放射性物質の専門家
を招いて保護者会で勉強会をする機会を準備したらよかっ
た。保育園側が専門家とのコンタクトができなかったら、
山梨県庁、甲府市役所がパイプ役になり仲介の労を取るこ
ともできただろう。


●震災被災者受け入れに際しての「事なかれ主義」の記事
を見て、震災前直前茅野市での、昨年の事件をやまねこは
思い出す。

茅野市の中学校を会場に、県高教組の教研集会が開催され
る予定だった。ところが、茅野市教育委員会が、会場を貸
さないことにした。右翼団体による妨害の恐れがあること
が理由だったという。

以下、長野日報web版の引用です。
「11月に開く県教育研究集会の会場として茅野市教育委
員会に長峰中学校の使用許可を求めたところ、右翼団体に
よる妨害の恐れがあることを理由に会場使用を拒否された
と明らかにした。同協議会は「正当な理由なく会場使用を
拒否することは、集会の自由を保障した憲法に違反し許さ
れない」として、27日に柳平千代一市長と牛山英彦教育
長あてに抗議文を提出する。

同協議会によると、教研集会は「憲法に基づく民主教育の
確立」を掲げ、教職員や市民の研究の場として50年以上
の歴史がある。集会は県内4地区を持ち回りで開催してお
り、今年は南信地区の茅野市を候補地として選んだ。11
月5、6日の2日間の予定で、参加者は約600人、市民
館を全体会場、長峰中と茅野高校を分科会会場として使用
する見込みだった。

昨年12月中旬に長峰中の使用許可を得ようしたが、牛山
教育長の意向で許可できないとの連絡を受けたという。こ
のため、改めて牛山教育長に問い合わせたところ、数年前
に市内で開かれた憲法擁護のための集会に市の施設を貸し
たことをめぐり、右翼団体の抗議を受けたことを理由に挙
げたとしている。

これに対し、牛山教育長は「打診があったことは事実」と
した上で、「正式な申し入れではなく、下打ち合わせのつ
もりで過去のことを含めて率直にお話しした。人間同士の
話し合いの中で、市内の事情を受け止めて最終的に判断し
てくださると思っていた。こうした事態になったことは誠
に残念」と話した。柳平市長は「教育長の判断を尊重する
」としている。

同協議会は「過去に教研集会が右翼団体の妨害を受けたこ
とはなく、会場使用を拒否されたこともない」とし、「極
めて異例の暴挙」と強く抗議する構え。同市での開催は断
念し、他の市町村の会場を検討中という。

●やまねこが興味深く思うのは、長日の紙面を読む限り、
教育長は正式な申し入れを受けてはいないから「拒否」で
はないと答え、高教組は「使用許可が出なかった」すなわ
ち「拒否」と受け止めていることである。

校舎の使用をめぐる両者の話し合いの中で、「数年前に市
内で開かれた憲法擁護のための集会に市の施設を貸したこ
とをめぐり、右翼団体の抗議を受けた」との物語を、教育
長は高教組に語った。

高教組はこの物語を使用「拒否」と受け止めた。過去事例
を語ることは、校舎使用を拒否したいとの暗黙のメッセー
ジとして機能したのである。もしも使用の「拒否」でない
のなら、教育長はどうして使用許可を追っかけて出さなか
ったのだろう?

●やまねこがさらに面白く思うのは、「拒否」の意思を、
教育長が言明しなかったことである。教育長は意思の表明
を避けている。

「原発に対する不安の声が他の保護者から出た場合に保育
園として対応できない」と語った甲府の保育園は、仮想事
例にもとづいて避難者の子どもの入園を拒否している。

仮想事例ではさらに、保育園の責任者の意思ではなく、保
護者の意思に問題がすり替えられている。

この二つの例はいずれも、「NO」という主体の意思の表明
が回避された例であり、にもかかわらず、どちらにおいて
も「NO」の意思が相手側に伝えられたのだ。

NOと言えない日本の主体」の「あうんの修辞学」ある
いは「あうんのコミュニケーション」と言えるだろう。


NOと言わない「あうんの修辞学」が、「事なかれ主義」の
背後に控えている。この両者が、この国のメンタリティー
の背後に控える構造なのである。(36日追加)

こんなやりとりしてたら、この国の外の、誰にも理解して
もらえないだろうねとやまねこは危惧するものである。

「あうんのコミュニケーション」の晦渋に紙幅を割いたた
め肝心の論点が最後になってしまった。

●最後に中学社会科の復習をしましょう。

質問:みなさん、もしも「憲法擁護のための集会に市の施
設を貸したら右翼団体の妨害を受けた」というようなこと
があれば、どうやって解決すればいいのでしょう?

答:警察に訴えることです。某団体の抗議に折れるのでは
なく、憲法に基づく法治国家の自治体として、一刻も早く
警察に保護を求めるといいのです。

どうしてこんなこと、今頃念を押さなくてはならないので
しょうね?茅野の地にもキナ臭いにおいが漂っています。


うらおもて・やまねこでした。


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