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2012年7月26日木曜日

日本の男女差別「インドのカースト制度もどき」と英紙「ガーディアン」、なでしこジャパンの“エコノミー移動”


@@@@やまねこ通信208@@@@

もうすぐ、7月も終わりです。7月に入って、やまねこ通信
が勝手に夏休みモード。炎暑の中で忙しくしておいでのみ
なさまごめんなさいね。

じつのところ、8月の夏休み前に行事が重なって右往左往し
ていたのが実情。定期試験もこれから作らねばならないや
まねこ「桃色吐息」ならぬ青息吐息の日々。

●大飯再稼働と前後して、大飯、能登志賀原発で地下に活
断層が存在する疑念が生じたけれどそのまま。時限爆弾の
上での原発稼働。この国の原子力関連人脈の辞書から、「
危険」という単語は削除されたと見える。

と思うと浜岡原発5号機原子炉に海水が入ったとの報道。
原子炉の主材料である金属は塩分で腐食しやすくなるので
最悪の場合、廃炉を迫られる可能性もあるとのこと。浜岡
だけがこうだなんて、誰も信じないよね。

この問題を打ち消すかの勢いで、ロンドン五輪のお祭り騒
ぎ報道が進行中です。

その五輪ニュースも、この国は海外からこんな風に見えて
いるのです。

●なでしこジャパンがワールドカップで優勝したのは昨年
7月でした。鳴り物入りの男子サッカーが一度も達成し
ていない世界一の座を、女子サッカーが獲得したのです。

WC優勝からの帰還の空路、なんと、世界の名誉の「なで
しこジャパン」の座席は、エコノミークラスでした。

世界一には遠く手の届かぬ男子サッカーチームが海外遠征
する折には、往復とも高級なビジネスクラスです。

これが日本サッカー協会の規定でした。監督は男子女子の
区別なくファーストクラスです。

日本サッカー協会の規定の根拠とその墨守に対して、やま
ねこは怒り心頭に達し、次のブログを書きました。

「やまねこ通信114号、世界一でもエコノミークラス、な
でしこの意味すること」

サッカー日本代表チームは男女ともロンドン五輪に参加し
ます。現地入り空路の座席は、あれから一年、どのように
変化したでしょう。

●次のニュースを見ましょう:
「ロンドン五輪に参加する男子サッカー日本代表(U-23
は、欧州へビジネスクラスで移動したことに対し、女子日
本代表(なでしこジャパン)はエコノミークラスという待
遇の差が話題になった問題は、英国メディアでも報じられ
ている。

19
日、英国の「デイリー・メール」紙は、澤穂希の発言や、
「男子はプロ選手の扱いになっているから」といった日本
サッカー協会の主張を紹介。さらに、今回の問題に対し「
性差別ではないか」という批判があることも伝えている。

また、19日、英国の「ガーディアン」紙は、「(なでしこ
は)東日本大震災後の日本に希望を与えた」にも関わらず、
男子との待遇に差があることを報じたばかりか、オースト
ラリアのバスケット・チームでも日本と同じ男女格差が発
生したことを紹介している。ちなみに女子バスケットボー
ルのオーストラリア代表は、五輪で3回連続銀メダルを獲
っている(男子は受賞歴なし)。

「デイリー・メール」紙の記事コメント欄には、「インド
のカースト制度と同じく、日本社会も序列がある。日本人
男子がトップ、次に外国人、日本人女性は一番下に位置す
る」

「日本サッカー女子チームはW杯王者。女子がメダルを獲
るチャンスの方が多いのに」など、多くの批判が寄せられ
ている。

このニュースこそ、「黒船」と呼んでいいでしょう。日本
列島を取り巻く何艘もの黒船の存在。

●と思うと、次のニュース。「デイリースポーツ」の見出
しがなんとも愚劣である。「おねだり」とはいったい何?!

W杯金メダリスト、沢穂希ら女子サッカーのメンバーたち
も、この国の男性メディアにとっては、まるで無力な子ど
もか「芸者」扱い。

「沢のおねだり通じた?メダル獲得で格差解消ビジネス
帰国
201207190914

「MF沢のおねだりが通じた?
日本サッカー協会の大仁邦弥会長(67)は18日、五輪
でなでしこジャパンがメダルを獲得した場合、帰りの飛行
機の座席を、プレミアムエコノミーからビジネスクラスへ
グレードアップする考えを明らかにした。
フランス合宿に入る際、同便でビジネスクラスを利用した
男子チームとの男女格差が話題になった。沢は到着後、「
席、逆じゃない?私たちの方が年齢的には上だよ」と、冗
談めかして待遇改善を望んでいた。
この要求を伝え聞いた会長は「当然、考えるでしょう。メ
ダルを取れば」と、メダルを条件に約束した。ロンドンか
ら成田の片道は、ある航空会社では、正規運賃、税金・燃
油サーチャージ込みの条件でプレミアムエコノミーが約4
7万円、ビジネスが約67万円(デイリースポーツ調べ)。
各種割引は考慮していないとはいえ、選手22人で約44
0万円の上乗せが必要だ。
大仁会長は神戸で8月19日開幕のU‐20女子W杯をP
Rしたが、チケット販売で苦戦中。なでしこが五輪で活躍
し、女子サッカー人気が再び爆発するのなら、ビジネスク
ラスへの投資も安いものだ」。

男子サッカーはメダルがなくても、常にビジネスクラスで
移動する。五輪の後、メダル取得した女子サッカーが再度
のエコノミークラス。メダルなしの男子がビジネスクラス。
この「カースト制」的光景を何とか避けるための工夫が凝
らされた模様。

「旦那様」である日本サッカー協会が、女子サッカー選手
にお手当をはずんだ。


これこそ、「親切、他人のためならず」、すなわち、「親
切な行為をすることで、結局自分が得をするのだ」の一例
でなくてなんであろう。

それにしてもこの当り前の要求をするのに、「冗談めかし
て」言わねばならなかった澤穂希、苦労してるなあ。やま
ねこにはとてもできないスキルだ。
  
以上、「男女の序列がインドのカースト制度さながら」で
あることに気づくことさえない男性中心メディアの実例で
した。

もう一つの黒船をどうかご参考までに。
「ジェンダーによる暴力の根絶」、米国のジョン・ルース
大使寄稿は「黒船」か!


うらおもて・やまねこでした。

2 件のコメント:

  1. サッカーファン2012年7月28日 5:30

    この飛行機の座席問題、男子が性差別に乗っかって得をしたというわけじゃないんですよ。
    男子サッカー五輪代表チームはJリーグでプレーしている選手たちが中心ですが、
    彼らは出発の前日までリーグ戦をこなしていました。
    それも代表戦と並行しながらだったので、中二日三日ペースで何試合も戦った直後に、
    慌ただしくイギリスへ出発するという極めて厳しい過密日程でした。
    当然疲労が蓄積してヘトヘトの状態。プロ選手であるがゆえに無茶なスケジュールを強いられていたわけです。
    さらにイギリスに到着して中一日でのトレーニングマッチ・ベラルーシ戦がブッキングされていました。
    チームを仕上げる時間以上に、選手の疲労を抜く時間が足りないという状況にありました。
    一方のなでしこは6月下旬に早々にリーグ戦が休止され、合宿を組むことができました。体力的にも余裕があります。
    この状態で両者を一つの便に乗せるとなった時、どちらをより休める席に座らせるか。
    私は男子をビジネスに、女子をプレミアム・エコノミーに乗せたサッカー協会の判断が必ずしも間違っていたとは思いません。
    両チームの初戦の結果を見るとなおさらそう思います。
    もちろん二つの便を用意して両方をビジネスに乗せるのがベストだったのでしょうが、
    少なくとも男子選手がビジネスクラスに乗ることには正当でフェアな理由がありました。どちらの格が上か下かではないのです。
    少しでも休む必要のあったチームをいい席に乗せてやったというだけのはずなのに。


    この件に関しては、報じるメディアと受け止める側の日本サッカー事情に対する無知のせいで、
    若い男子選手たちが半ば悪役扱いされ、不毛なバッシングの標的に仕立てあげられたことに
    サッカーファンとして非常に強い憤りを感じています。
    本当に残念です。

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    返信
    1. 「サッカーファン」様。
      コメントを記入してくださって有難うございます。
      ご返事が遅れました。
      男子サッカーの詳しいスケジュールを、やまねこは全然知りませんでした。
      けれど、「若い男子選手たちが半ば悪役扱いされ、不毛なバッシングの標的に仕立てあげられた」というような事実があるのですか?
      もしもそうだったら、誠に不毛ですね。根本的な問題の取り違えといわねばなりません。
      やまねこが問題にしているのは、日本サッカー協会の政策です。男子であれ女子であれ選手は協会の政策に従っているのであって、搭乗便を自由に選ぶことは出来ないからです。
      政策決定者でない人々(サッカ-選手たち)が非難を浴びるとしたら、それは、問題をそらし、批判を別に向けさせようとする力が働いているとみて良いでしょう。

      話は変わりますが、黒人の公民権運動が盛んだった時代の米国で、黒人が白人を襲撃する事件が頻発しました。逆に白人が黒人を襲撃し、犯行を黒人と見せかける事件も起こりました。
      差別の激しい社会では、問題の根源を見えなくするための様々な力が働いて犠牲者を生み出します。社会の政策決定から排除された者たちが、反目しあい、攻撃しあうのです。「わるいのはあいつらだ!」

      やまねこは、社会を男女平等にしたいとの発言をする際、必ず最初に次の事を語ります。
      「この国が男性社会であり、男女不平等だと私が語る場合は、この国の制度を批判しているのです。それは眼に見えることもあれば、見えないこともあります。個々の男性がわるものだと非難するのではではありません。気を悪くされることがないように」。
      けれど、このことが、なかなか理解されないことも事実です。
      ところで、男性社会という制度は、男性にとって幸福な社会でしょうか。実は必ずしもそうではありません。
      「頑張れ!おまえは男だろ!」
      こうして男性を叱咤し、
      「お前はダメだなあ!」
      と絶えず囁き、心が折れるきっかけを生産し続ける社会でもあるのです。
      「男子が性差別に乗っかって得をしたというわけじゃないんですよ」。
      仰る通りですとも。
      このコメントを切っ掛けに、「男性社会」という抽象概念に関心を向けていただければ幸いだとやまねこは考えております。

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