@@@やまねこ通信317号@@@
安倍政権のビッグブラザー:戦争法案の裏で批判的思考育てる文系学部を縮小廃止、
集団的自衛権を憲法解釈で可能とし、戦争の出来る戦前体
制への「逆走」がやまない安倍政権の向かう先は、外交、
防衛問題にとどまらない。
▲下村博文・文部科学相が、国立大学学長を集めた会議で、
大学の入学式や卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱を要請した。
16日のこと。
テレビで下村文科大臣は、「決して強制ではありません」
と薄笑いを浮かべた。
学長たちはどう受け止めただろう?
「会議後の学長らは厳しい表情。琉球大の大城肇学長は
「学内で問題提起しようと思うが、かなり混乱すると思う。
集団的自衛権の議論や基地問題ともリンクして、大学改革
とは違う所に話が飛んでいきそうな気がする」。50年の
創立以来、慣例で国歌斉唱や国旗掲揚はしていない。「個
人的には棚上げにしておきたい」と複雑な心境をのぞかせた」。
(毎日新聞)
滋賀大の佐和隆光学長は「納税者には(国立大としての)
責任を果たすべきだと思うが、国の要請に従う必要はない」
と強調した。文科省によると、今春の卒業式で国旗掲揚し
たのは74大学、国歌斉唱は14大学だった。
▲実は、国旗・国歌の要請は、「国家への忠誠心をシンボ
ルで表現すること」であった。その裏にもっと切実で深刻
な問題が潜んでいると、やまねこは思う。
国立大学は「リアルでの忠誠・従属」を、文科省から迫ら
れている。それは人文社会科学系や教員養成系の学部の廃
止、他分野への転換である。
国立大は中期計画(16年度から6年間)を作り、大臣の
認可を受けなければならない。
「交付金をもらえないと困る。今後、人文社会科学系の学
部の定員は減らさざるを得ない」と複数の学長が述べた。
▲つまり16年から始まる6年計画で、文科省の仰せの通りに
文系学部を縮小廃止しないと、認可が得られず、交付金が
消えるから、大学の運営に差し支える。だから言われる通
りにするしかない。
このような背景があるから、大臣は手を振り上げる必要が
ない。薄笑いを浮かべても実質は「強制」となんら変わり
がないと、学長たちは受け止めているのだ。
▲人間、社会、世界はどうあるべきかを考えること。これ
までどうだったのかを記録し、間違いをどうやって改めた
らいいのかを批判的に思考すること。このような思考がな
かったら、ひとは機械の部品となんら変わらない。ひとが
自己を疑い、振り返るための思考を促すのが文系の学問で
ある。
このような学問は、大学で学ばなくていい。
科学技術でカネが儲かる方向に大学を転換させよう。
予算が欲しい研究者、大学は、成果至上主義、利益至上主
義を貫け。
安倍政権はこう考えている。
これから生まれる子どもたちが、モノを考えることがなく、
言われた通りに機械を操作し銃を撃つだけのロボットであ
ればいい。批判精神を持つことは許されない。ごく少数の
「エリート」だけがひとびとに見られることなく社会を支
配する。
オーウェルの未来小説『1984』の「ビッグブラザー」
そっくりの世界が透けて見える。
こんな社会に誰が住みたいと思い、子どもを育てようと思
うだろうか?
うらおもて・やまねこでした。