@@@やまねこ通信370号@@@
春一番の富山から、猪谷平湯安房トンネル、楽しみの後にツケ
を支払う
頭の中を風が吹いている。
富山から茅野に戻った。
長距離ドライブの後は、アタマとカラダが宙ぶらりんになる。
茫然としている。
二日前の富山は朝から強風が舞っていた。空は曇天。時折ふる
雨は横なぐりである。
春一番とテレビが告げた。
片山津温泉のリゾートホテルで3泊、富山に戻って恭子さんの
家で2泊。
「あなた、何時に出るの?」
「10時には・・・」
朝食を終えお茶を飲んでいた。
車に積む荷物を玄関にまとめる。車での旅は荷物がどんどん増
える。トランクを開けようとしてリモートキーをクリック。ド
アが開かない。変だな。幾度もためす。
電池が切れたのかもしれない。こんな時に限って・・・
近所のローソンまで歩けばなんとかなるだろう。
こう思って奥に声をかけた。
「ボタン電池***3Vがきれたらしいの」
「あるかもしれない」
あった。同じ種類の電池が見つかった。ありがたい。
細いドライバーでリモコンキーを開きボタン電池を交換した。
さあ、門の外に停めた車のところまで行ってキーを押すが、車
が反応しない。
そうだ、直に開ける鍵があったのだ。ドアの鍵穴に差し込んで
回すとガタっと音がしてドアが開く。
シートに腰を下ろし、ブレーキを踏みエンジンキーを回すが・・・
エンジンがかからない。ハンドルを左右にギシギシ回して目を
覚まさせようと試みても、ダメだ!
SUZUKIの修理工場が付近にないかとスマホに相談してようやく
気づいた。
そうだ、JAFというものがあったのだ。
そうか、JAFに連絡すればいいのだ。ようやく気づいて電話する。
さいわい恭子さんのお宅は古くからの居住。住所と電話番号です
ぐに場所を了解してもらう。
大船に乗った気分。待つこと25分。
「最後に、こんなとは思いもよりませんでしたが。でも、もう大
丈夫ですよ」
するうち玄関に物音が。
JAFのおにいさんの登場である。
テキパキ動くJAFマン。車の扉を開き、ボンネットを開ける。
バッテリー切れだった。
ドライバー歴27年のやまねこ。初歩的ミスのバッテリー切れ
をずっと前一度だけしたことがある。
ああ、恥ずかしい。昨夕、スーパーに買い物に行った後、スモ
ールランプを消し忘れたと思う。
夜ならありえない失敗だ。
JAFマンの忠告で、30分間エンジンをかけたままにして、また
お茶に。
「山の中で突然止まるより、よほど良かった!」
(^O^)(^O^)
戦中戦後の時代の、限りない物語をかわしたこの5泊6日の合
宿が、ただ楽しいばかりで終わるわけがない。うっすら不安が
あった。どこでツケを払うことになるのだろう。
こう思うことが、やまねこの日常である。
車に荷物を積み込んで、もう一回お茶を飲んだ時に気づいた。
ああ、これで帳尻が合ったのかもしれない。普段のバランスが
回復した。
▲強風の富山から茅野に向かう道は二通りである。
松本までの三角形の2辺を高速で走るルート。高速北陸道の富
山インターから、魚津黒部を過ぎて新潟県に入る。
市振、能生を過ぎて大火の後の糸魚川を通り直江津に至る道で
ある。今は上越ジャンクションとの名で呼ばれ、そこから内陸に
向かう。越後高田を経由する豪雪地帯。このあたりは高速がまだ
片側通行。
信濃町、大町、長野を通り、ひたすら松本に向かい諏訪インター
で下りる道。やまねこの棲家から4時間ほど掛かる。
北陸道は日本海に面し、海風が直に吹き付ける。親不知あたり
では、高速道路が海側に突き出している。往(ゆき)の道はこ
の経路を通った。交通が少なく、空は明るく快適な道すじだった。
「猪谷は雪が1mなんですって。北陸道を通ってね!」恭子さん
が電話で伝えた。
ところが子不知を過ぎてから、高速の事故のため全面通行止めに
なり、親不知の手前で一般道に降りることを余儀なくされた。
雪の残る国道を、とろりとろりトラックに前後をはさまれながら
移動した。久しぶりに冬らしい道路の感触を味わいながらのドラ
イブ。立山インターから再度高速に乗り富山インターで降りた。
帰り道は、富山県をひたすら南下した。岐阜との県境の猪谷まで
市の中心部から約1時間である。岐阜に入り、平湯安房トンネル
を通って松本に出る道は、両側が山を切り開いた崖、あるいは片
側が水をたたえて緑色をしたダムが控えている道である。
気温が7度。この国道471号線は風がさほど強くない。けれど、
山を削った斜面に積もった雪が、いつずり落ちるのか気が気では
ない。前方に雪の塊が落ちている。急に気温が上がる日は雪崩の
警告が出る日である。
安房トンネルから先も、両側にはたっぷりの雪が残っていた。
富山から3時間半。4時半には茅野に到着したのでした。
うらおもて・やまねこでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿