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2012年10月20日土曜日

「女性の雇用を増大することで、日本は不況から脱出できるのよ!オランダの先例にならったら良い!」IMF勧告


@@@@やまねこ通信227@@@@


はや3日前、火曜日の夜のことである。魚を料理して夕食
の支度をしているところに電話が鳴った。

「クローズアップ現代の・・・」ちずこさんである。
「ええ、そうでしたね」。
あわててテレビの電源を入れる。

左目の手術の日程が早まり、この日は手術から5日目だっ
た。仮のメガネもつくり、ほぼ平常に復帰したところ。
みなさまご心配を掛けました。

矯正視力1.5の見えすぎる感じのメガネを掛け、雨の中、
諏訪市の角上まで魚を買いに久しぶりに遠出した。

鱈汁、ニギスの塩焼き、スルメいかの塩辛とイカ足の塩
煮など、数日間で平らげるはずの夕食を楽しみながら作
っているところの電話だった。

もう始まっている。あやうく見逃すところ、間に合って
よかった。ちづこさんどうもありがとう。

●「女性は日本を(そしてアジアを)救えるか?」クロ
ーズアップ現代78分特別版が始まっていた。

キャスター国谷裕子さんの隣に、IMF(国際通貨基金)
の女性専務理事クリスティーヌ・ラガルドさんが並んでい
る。白髪の長身、赤と黒を上手に取り合わせた目が覚め
るほどに素敵なファッションでおなじみのラガルドさん。

●「日本の高齢化・少子化は、世界でも例を見ないほど
の勢いで進んでいる。働く人の数生産年齢人口は今
年から100万人単位で減少、近い将来、世界最低レベ
ルになると予測される。

「そんな中、日本の経済を立て直すには「女性をもっと
活躍させるべきだ」という緊急リポートが、今月IMF
(国際通貨基金)から近々、発表される。

●「日本は、出産や育児で仕事を辞める女性は6割以上、
女性の企業幹部もごくわずかと、先進国でも突出して女
性が活躍しにくい国。しかし、女性が家庭と仕事を両立
しながら能力を発揮することで、労働力の減少を補うだ
けでなく、新たなイノベーションを生み出し、男性も働
きやすい組織に変えるというのだ。

「女性も男性も皆がいきいきと働き生活できる社会にす
るにはどうしたらいいのか。 
出演者 クリスティーヌ・ラガルド さん(IMF専務理事)
長谷川 閑史 さん(経済同友会 代表幹事、武田薬品工業社長)
山極 清子 さん(株式会社wiwiw社長)宮本 太郎 
さん(北海道大学教授)駒崎 弘樹 さん(NPO法人フ
ローレンス代表理事)(以上、番組紹介サイトよりの引用)

●この番組は、先ごろ日本で開かれたIMF世界総会に
来日したラガルドさんが、日程を延長して出演した番組で
ある模様。

●ラガルドさんが語っている。
「女たちは働きに出る時、子どもに対して罪の意識を抱く
のです。私もそうでした。けれど子どもは、母のみでなく、
信頼できる人に預けられる時間が大切なのです」。
「パートナーは協力的だったけれど、子育てに対して責任
は感じていなかった」とプライベートな話も。

●子育ての時期にある女性、それに男性に対して、企業が
理解を示すと良い、と番組では語っている。

けれど日本では、雇用そのものにおいて固定的ジェンダー
分業が変わっておらず、不況であればなおさら、その傾向
が強まっている。

「男の仕事がないのに、女の雇用なんて問題外だよ」こん
な空気が、やまねこの周辺でも感じられる。
子どもが生まれたら、女が会社を辞めるしかない。男性が
育児をする習慣が育っていない。

オランダの先例にならうと良い!
オランダでは、働く女性はかつて20%だったが今では8
0%。その結果、長い不況から脱出することができた。オ
ランダの奇跡と呼ばれている。

こんなケースが示された。
4日勤務する女性はパートタイマーでしかも管理職。
フルタイマーとパートタイマーは、同一労働同一賃金の原
則。パートからフルタイマー、あるいはその逆に、変更が
容易であるという。この家族は、夫もパートタイマー。夫
婦の二人合わせて賃金は1.5人分。

夫が語った。「家庭を犠牲にして仕事に捧げる時代は終わ
った」。

女たちが働きやすい制度に転換してからのオランダは、税
収が増大し年金が安定し、職業訓練がなされ、多数の勤労
者が救済された。パートタイマーの地位が向上した。男性
の選択肢が増え、女性の選択肢も増えた。

日本でも、ある通販会社は、勤務時間を6時間に短縮し、8
時間労働と同じ給料にした。9時から3時の勤務になった女
性社員は、3時から仕事を兼ねてショッピングした。夕食の
買い物を済ませて帰宅するとまだ5時。夕食をゆっくり作っ
て帰ってきた夫と食事する。こんな勤務なら、これから子
どもをつくって育てられるかもしれないと考えるようにな
った。

●主婦の能力に注目せよ!
主婦は短時間で多種類の仕事をこなすことに慣れている。
同時にいくつもの仕事をこなすことが当然の家事労働。と
ころが、企業はそこを評価していない。
主婦が企業で試験的に勤務するインターンシップを、国を
挙げ、民間企業、大学が力を合わせ、女性のキャリアデザ
イン支援としてオランダは行っている。日本でもしたらい
いのだ。

短時間労働は、生産性の上がる質の高い労働である
自分の時間をもちたい女たちはパートを望む。そこでIM
Fは日本にオランダをモデルにするように勧めている。

家族と仕事の両立で、企業も従業員もうまくゆく。winwin
ゲームである。

夫の帰宅時間は、日本では夜の11時が平均的。
女にはとても入ってゆけない世界である。
けれど、それで果たして、生産性は高いのだろうか?
オランダでは、定時より2時間の残業しか認められていな
いという。

長時間勤務は男性社会の仕組みである。それが足かせにな
り、女性が働きにくい。結果、女性の資源が生かされてい
ない。

経済同友会代表理事、武田薬品工業社長の長谷川さんは語る。
「がむしゃらに働けば生産性が上がるのではない。
ダブルインカムウィズキッヅの方向に向かいたいものだ」。

生活と経済のつながりを生かす。多様な人生を、男も女も
歩む必要。そうすれば、女性が出産と同時に退職するため、
30代の女性の就業率がドーンと落ち込んでしまう「M字カ
ーブ」を解消することにつながる。

●韓国の挑戦
女性の管理職が日本と同様に少なかったアジアの隣国韓国
が解決に乗り出している。
従業員500人以上の企業での女性の管理職率が16%を越える
うに促す。
女性の国家公務員30%をめざす。
「逆差別」との意見もあるが、担当の公務員が、4~5週間
企業を指導する。高等教育を受けた女が働かなくては、国
家の損失である。

韓国の電機メーカーLG社では女性役員が3人登場した。
キム社長は語る。「女性役員は企業を活性化している」。
女性はコミュニケーション能力にすぐれている。女性社員に
変化が生まれつつある。

社内の「子どもの家」
LG社社内に「子どもの家」が設けられ、7時~20時まで運
営。社内で母たちのネットワークが生まれ、出産後退職する
女たちが減少した。女性を生かすことが企業にプラスである。

●日本の食品メーカー、カルビーは女性管理職を増やそうと
している。
まずは社員の意識に問題があった。
第一に、女性管理職を男性は嫌う。第二に、女性は昇進を望
まない。特に製造業だと、機械は男の世界との先入観が邪魔
をした。
女性管理職に対し、上司は伝えた。
「男のまねをしなくていい。」
結果、目標を上回る利益が出た。彼女のコミュニケーション
力が生きたのだった。

女性管理職実現のための手法は、こんなにある!
ラガルドさんは語る。
女性管理職のロールモデル、メンター制度、トレーニング、
責任ある仕事のトレーニング、が必要。
IMFで管理職を選ぶ際には、能力が同じであれば、私は
女性を選びます」。

上からの引き上げと、下からのボトムアップ、すなわち本人
の志を強くすることの両方が大切とも。

ところが日本の国内で、女性管理職の数値目標の実態調査を
したところ、数値目標なしの企業が58%だった。けれど、
すでにある企業も37%にのぼっている。

●ラガルドさんは最後に語った。
「女性が男性に劣ることは何もない。社会の問題を一つ一つ
解決してゆきましょう」。
国谷さん「女は日本を救えるでしょうか?」
ラガルドさん「もちろんですとも!優秀で教育水準の高い女
性が沢山いるのですから」。
「クロ現」はこれで終わった。

●男性が支配する社会の先行きが、過度の競争、戦争の結果、
真っ暗で救いようのない状態に転落した時、「女が世界を救
う!」ことが、幾度も期待されてきたとやまねこは感じてい
る。戦後がそうだった。大災害の後もそうである。原発事故
の後も、女たちが希望を生み出す役を期待されている。

やまねこは思う。今後は女たちが、社会の政策決定にことご
とく参加して、利益至上主義、軍備増強にくさびを打ち込む
役割を果たさねばなるまい。困った時だけ、女に期待するの
は、これで打ち止めにしてほしい!

女性閣僚、首相が登場しても、世界はなかなか変わらない。
「女の政治家がいてもダメだ」と、早めの結論を語る男性が
少なくない。

それは違う、とやまねこは思う。
女性の閣僚、議員、企業のトップが一人二人ではなく、少な
くとも、全体の4割、5割以上にならなくては。そうしてはじ
めて、世界が変わったことが誰の眼にも見えるようになるだ
ろう。

●最後に、IMF初の女性専務理事ラガルドさんの登場がき
わめて衝撃的だったことを書かねばならない。

ラガルドさんが就任したのは、前任者ドミニク・ストロスカ
ーンがNYのホテルで、サービス係のアフリカ系女性を強姦
して告訴され、それ以前にも、レイプ加害の前歴が一度や
度でなかったことが明るみに出て失脚した後だった。
昨年5月のことである。

フランス大統領は現在、社会党のオランドである。ストロス
カーンは社会党の大統領の最も有力な候補と伝えられていた。

やまねこ通信バックナンバーをご覧ください。
@@@やまねこ通信82@@@
IMF専務理事、NYのホテル従業員強姦で逮捕

@@@やまねこ通信83 @@@
ホテル客室係、西アフリカ出身、シングルマザー

@@@やまねこ通信115 @@@
信州の女たち、東電女子社員殺害事件、IMF理事強姦被害者潔白を主張

●前任者ドミニク・ストロスカーンの性暴力スキャンダル
辞任後に就任した、初の女性IMF専務理事ラガルドさんは、
自分の役割を十二分に理解していることが見受けられた、と
やまねこは思う。

ラガルドさん率いる「IMF勧告」という名の黒船が、沈み
つつある日本を訪問している。やがて勧告の全容が紹介され
るだろう。

この国の政府はこれをどう受け止めるだろう。
一人一人の市民である私たちは、「IMF勧告」から力を得
て、どうやったら、賞味期限が切れたのに動こうとしない、
重たいこの国の男性社会を切り崩すことができるだろう。


うらおもて・やまねこでした


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