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2011年10月22日土曜日

長野県男女共同参画フェスティヴァル、塩尻、2011、要るもの、要らないもの


@@@@やまねこ通信146@@@@

塩尻までちょっとした遠足気分。茅野市役所前を朝8時半
出発したバスの中には顔見知りの方々が多い。今日は年一
度開催の長野県男女共同参画フェスティヴァル2011年であ
った。

男女共同参画は基本法が制定され計画も策定、進行中で
ある。今、必要なのは実践である。この認識を出発点にし
て、パネルディスカッション「ともにつくる地域づくり」
では、目覚ましい地域の実践例が発表された。

パネリスト、平島安人さん(NPO法人森倶楽部)、丸山
典子さん(塩尻東公民館きらめき教室受講生)、吉村幸代
さん(松本市寿台公民館館長)
コーディネーター、古田睦美さん(長野大学観光ツーリズ
ム学部教授)、アドバイザー、加藤さゆりさん(長野県副
知事)

古田睦美さんは、長野大学が地域密着型の大学で、地域貢
献度が県下一であると紹介。男女共同参画は基本法が制定
され計画も策定されている。今、必要なのは実践と考えて
有言実行する社会学の先生。男女共同参画の地域つくりを
めざし、NPO「食まちネット」を立ち上げ、農家と地域
の交流、ファーマーズマーケット、エリア内フェアトレー
ド、毎日の旬の食卓、食+農からプチ起業を作るなど、地
域の人々の力を結集する要の地点に古田さんと大学が重要
な役割を果たしていることを紹介した。

安島安人さんは25年前、チェルノブイリ事故の折、長男
が一歳だった。それ以後、環境問題、ダイオキシン、温暖
化の問題に取り組み、現在は新エネルギー信州ネットの理
事である。

丸山典子さんは、公民館活動の参加者は女性ばかりなのに、
その運営者が男性ばかりだったことに不審を抱き、女たち
の力を導入した経験を語った。どの地域にも応用できそう
である。

吉村幸代さんは地域初の女性公民館館長として、少子高齢
化しつつある松本市郊外団地、寿台で地域おこしを始めた。
利き酒の会を開いて参加者を増やし、やがて清酒「寿一番
星」の製造に。また和太鼓のチームを作って地域の祭りの
求心力を作った。人々を酒と祭り太鼓で結集したというの
は目からうろこの知恵だと思った。

加藤ゆかり副知事は重要な発言をした。副知事が女性に
なったら男女共同参画が県内で進むことが期待できるほど
に、現実は甘くない。県庁には、県内各地からさまざまな
提案が持ち上げられているが、その中に共同参画の傾向の
提案がほとんど見当たらない。
今後は、県が何をしてくれるのかを待つのではなく、県内
の活動メンバーが、さまざまな施策を県に持ち上げ提案す
るように。こうした発言だった。

やまねこは米国ケネディー大統領の就任演説を思い出した。

「アメリカがあなたに何をしてくれるかと望むのではなく、
あなたがアメリカに何ができるかを考えよう」。

加藤副知事はおそらく、手元に大量に寄せられる男女共同
参画実現の限りない期待のボールを、県民に投げ返したの
だ。頭が良く、内面が強い人だと思った。けれど肝心のこ
とが語られなかったと思った。

質問時間にやまねこは聞いてみたかった。県政に対し、男
女共同参画施策を提案する窓口は、今後新設されるのだろ
うか。それとも県議などを通じての議会プロセスを辿るの
だろうか。後者の道であれば、意識高い県議を選挙で当選
させるところから始めねばならない。どうみても4年以上
かかるだろう。

塩尻フェスティバルに参加して、男女共同参画の今日的
段階が分かって大いに得るものがあった。実践活動は本日
のところ、地域活動、地域おこし、農業と食生活にまつわ
ることが中心だった。

こうした方面だったらやまねこの地域にも見つかるだろう。
けれど女たちの仕事が、男たちの名前で広報宣伝されてい
るのではないか。このようなケースが、やまねこの頭に幾
つか思い浮かぶ。

重要な問題がここにある。女性たちの実践活動だけが存在
しても男女共同参画にはならないということだ。昔から女
たちは家で地域で主な活動の担い手であった。何が違うの
か。実践活動と同時に、活動を女たちの名義にするという
男女行動参画の意識の方向付けが不可欠なのである。女た
ちにその選択をする決意が必要なのである。

午後には弁護士菊池幸夫さんが、落語家も顔負けの講演で、
離婚、DVなどについて語った。そうか、そうか、家族が
法律や弁護士を必要とするのは、何らかの望まない事柄が
出来した時である。この暗い話題を軽いのりで展開したの
があの話芸であったのか。

塩尻フェスティヴァルにはすごいアトラクションがついて
いた。塩尻志学館高校の吹奏楽部演奏である。共学の女子
と男子の高校生が創意工夫に満ちた音楽演奏と、男女共同
参画への応援エールを見せてくれた。この高校生たちが社
会人になるころには、少しでもジェンダーによる活動の制
限が消滅する方向に社会が進んでいることを、やまねこ心
底願っている。

素晴らしい企画と塩尻市の女性団体の綿密な協力からな
って成功を収めた今年のフェスティバル。けれど、最後に
注文を出さねばならない。

冒頭の来賓あいさつである。県会議員が男性ばかり3人並
んだ。一人は議長の代理でありきたりの挨拶を読んだ。こ
の男性議員たちが、どんな男女共同参画の施策にこれまで
かかわりをもち、それらを実現させてきたのか、実現に反
対してきたのかそれが知りたいと思った。そもそも政治的
ヴィジョンを明確にしない議員たちも並んでいた。

議員の仕事は県議会での活動であり発言の場は保障されて
いる。お祭りの挨拶で名前を売って選挙活動に備える前に、
しっかり男女共同参画の政策勉強をしてほしいものである。
次回から、来賓あいさつというこんな無駄な時間つぶしは
止めにしたらどうだろう!


うらおもて・やまねこでした。

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