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2011年10月10日月曜日

毎日新聞足立旬子「記者の目:原発事故とエネルギー政策、諏訪大社の大鳥居

@@@@やまねこ通信144@@@@

諏訪大社の大鳥居

●秋晴れの今日、諏訪大社前宮、神長官守矢資料館、
藤森照信の高過庵、飛行船、諏訪大社から茅野駅方面に
いたる裏道を半日散策した(JR東日本企画)。誘ってく
れた首都圏在住で富山生まれのかずこさんとたかこさん
姉妹は、朝9時に茅野駅を出発し、寒天蔵を経由し前宮
まで歩いた。全部で3間の徒歩コースである。

やまねこは前宮から合流した。車では何度も訪れている
が、古い道を選んで歩いたのはこれが初めて。道端にひ
っそり咲く花を見ては、いとおしそうに名前を呼びなが
らふたりは歩を進めている。小さな祠(ほこら)が至る
所にあって、一帯が神域であることを示している。
 
諏訪大社の境内を歩くと、大鳥居の外の門前町の賑わい
中にソフトクリームの幟が見つかる。ちょうどいい時
間である。ソフトクリームを舐めながら、子ども時代の
祭りの思い出話に花を咲かせる。お腹をこわすことが多
かったため、祭りの屋台の食べ物を母上から禁じられた
かずこさん、お腹は何ともないのに同じ禁止のなかで育
ったたかこさん。

二人はともに、大学時代キャンパス近くの雑司ヶ谷鬼子
母神の縁日で、子ども時代の不満のかたき討ちを友人と
もに思い切り晴らしたという。とても分かりやすい話
だ。

諏訪大社上社の大通りに面した新しい石の大鳥居に、献
した人物の名が大きく刻まれている。三平ストアの経
者がその主であった。新宿東口に何件もあった三平ス
アは今なお健在らしい。それにしてもこの国で最も騒
しい界隈での商いから得られた富が、森に包囲され閑
りかえった諏訪大社上社の大鳥居に変じたことの、そ
のコントラストに感動を抑えることができない。

大鳥居寄進のためには、相当の金額の寄進だけでは済ま
ないのではないかとやまねこは想像する。寄進者にはど
んな条件が必要とされるのだろう。諏訪の地に生まれた
人物に限るとか、永年の参拝、献納を積み重ねるなどの
敬虔経験が求められるのかしら。寄進志願者は多いのだ
ろうか。それとも巨額の寄進を前に足踏みする人が多い
のだろうか。

●話は変わって、やまねこは新聞を3紙、せいたかさんと
シェアしながら購読している。長野日報、信濃毎日、毎
日新聞である。
3.11東電福島原発事故以後、新聞記事が以前にもまして
気になって仕方がない。

自宅のリビングは、読み掛け、切抜き、読了、未読の新
聞のやまのため足の踏み場が狭ばまる一方である。褒め
られた話ではない。なんとかしなくては。

一面記事に載るような大きなニュースは、新聞を購読し
なくても各新聞社のWEB記事で読むことができる。けれど、
小さな記事、地域の記事は、WEBには登場しない。だから
三紙のうち購読不可欠なのは地域の新聞、長野日報であ
る。同紙には市町村の行事が細かく掲載され、知人友人
の誰かれがどんな活動をしているかが分かりやすいので、
の地域で暮らすには欠かせない新聞だととやまねこは
思う。

長野日報はそれだけでない。地域の報道記事が、綿密
寧であり非常に分かりやすい。記者の質の高いことにこ
れまで何度も感服した。それに加え、23面の政治経済
面の両端に外信欄コラムがズラリ並んでいる。時事、共
同などを経由したニュースはネットのニュースにも似て、
どのニュースも同じサイズで羅列してある。これは走り
読みに向いてありがたい。

信毎新聞は中馬清福氏の解説、それに読者投稿欄に注目
ている。

●毎日新聞は記者の署名入り記事が時に非常に立派である。
足立旬子記者930日の解説「記者の目:原発事故とエネ
ルギー政策見直し」は、原発事故後の政府対応を通覧し、
野田内閣を叱咤している。必読の記事である。

●記者の目:原発事故とエネルギー政策見直し=足立旬子

東京電力福島第1原発事故を機に「脱原発」の世論が広
がっている。19日、東京都内の集会には6万人(主催
者発表)が集まった。

しかし、野田佳彦首相が国連総会で表明したのは、原発
の安全性を高め原発輸出を継続する考えだ。原発事故の
原因究明も安全性確保も道半ばなのに、事故の当事国で
ある日本の首相が真っ先に国際社会に訴えることがこれ
かとあきれる。欧州では事故をきっかけに、エネルギー
政策の根本的な見直しが進む。日本こそ率先して、エネ
ルギー政策の転換に踏み出すべきだ

原発建設の是非が争点だった25日の山口県上関町長選
は推進派の現職町長が3選された。82年に建設計画が
持ち上がってから9回連続の推進派勝利。だが、今回は
推進派も「原発を想定しない町づくり」を掲げざるを得
なかった

昨年夏、私は上関町の中でも反対派住民が多数を占める
祝島(いわいしま)を訪ねた。計画地を真正面に見渡す
小島には、開発が進んだ瀬戸内海にあって、手つかずの
自然が残る。周辺の海には絶滅危惧種のカンムリウミス
ズメの親子が泳ぐ姿や、クジラの仲間であるスナメリの
影を見ることができた。漁業で生きる島の人たちは「自
然とともに生きる生活を守りたい」と反対してきた。今
年1月、島内で使うエネルギーを100%自然エネルギ
ーで賄う構想を打ち出し、今月、太陽光パネルが1軒の
民家の屋根に設置された。エネルギー自給で原発依存の
構図から自立しようとする意気込みが伝わってくる。

 ◇現在に通じる「暗闇の思想」

福島の事故直後、闇に沈む首都圏の様子に、70年代に
九州での火力発電所建設に反対した作家、故・松下竜一
さんが提唱した「暗闇の思想」を思い出した。「国民す
べての文化生活を支える電力需要であるから、一部地域
住民の多少の被害は忍んでもらわねばならぬという恐る
べき論理が出て来る。本当はこういわねばならぬのに-
だれかの健康を害してしか成り立たぬような文化生活
であるのならば、その文化生活をこそ問い直さねばなら
と」(「暗闇の思想を」)。問題提起はそのまま現在
に通じる。

それに比べ「原子力ムラ」と呼ばれる人たちの当事者意
識の薄さはどうだろう。安全への対応も場当たり的だ。

事故以来、私は政府や東電の取材を続けてきた。当初、
府は各原発の安全性確保に、非常用発電機の追加などの「
緊急安全対策で十分」とした。国民の不安が強いことを知
ると突如、欧州連合(EU)にならって「安全評価(スト
レステスト)」を持ち出した。EU版は全原発に同じテス
トをするのに対し、日本版は定期検査で停止中の原発は
短期間で済む「1次評価」が含まれる。早く再稼働させ
ようとする意図が見て取れる

◇テスト前から再稼働ありき

ストレステストの結果がどうなら再稼働が可能かという基
準も示されず、最終判断は専門家ではない首相と3閣僚に
委ねられる。責任者である野田首相は米紙のインタビューに、
「来夏に向けて再稼働できるものはさせないと」と述べて
いる。テストの前から結果は知れている。

東電は、事故原因解明の手がかりとなる過酷事故時の手順書
開示を求められ、当初、大半を黒く塗りつぶして衆院特別委
員会に示した。「知的財産権保護」を盾に公開を拒む東電に、
経済産業省原子力安全・保安院も及び腰だった。

その保安院は、国主催の原発説明会での「やらせ疑惑」の渦
中にある。真相究明も済まないまま、9月1日までに、経済
産業省事務次官、資源エネルギー庁長官、保安院長が更迭さ
れたが、かえって責任の所在があいまいになった。

来年4月、新しい規制機関「原子力安全庁」(仮称)が環境
省に発足するが、本当に生まれ変われるのか。保安院は99
年の核燃料加工会社「JCO」の臨界事故を教訓に01年に
発足した規制機関だが、原発の安全性PR機関に変身するの
に10年しかかからなかった安全を強調するかのような新
組織の命名にも違和感を覚える。米国の同様の組織は「原子
力規制委員会」だ。

今夏、原発が再稼働されなければ大停電がすぐにも起きるか
のように電力会社は言い立てたが、国民が知りたいのは本当
の電力需要と、発電方法ごとのコストだ。今月の毎日新聞の
世論調査で「生活程度は低くなっても電力消費を少なくすべ
きだ」との回答が65%に上った。「脱原発」はもはや一部
「反対派」の主張ではないといっていい。原発14基の増設
を前提とした国のエネルギー基本計画の見直し作業が来月、
始まる。新しい日本をつくる転換点としなければならない。
(東京科学環境部)(以上毎日WEB引用)

足立旬子記者の書くところにやまねこはほとんど同じ意見である。
特に注目した部分を太字にした。

下 、三紙を二紙に減らそうと考えている。けれど毎日のこの記事
を読んで、こんなに立派な記者を擁している毎日新聞を、止めるわ
けにはいかないと思った。止めるのはどれにしよう。なかなか決心
がつかない。


うらおもて・やまねこでした。

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