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2012年12月16日日曜日

「戦争は人間の本性に非ず」、人類学者山際寿一氏「日本が平和の模範を示そう」

@@@@やまねこ通信245@@@@

衆院選挙開票直後から、自公大勝300議席超との報道が進
行中。

選挙公示中に、北朝鮮がミサイルをフィリッピン沖に発射。同
じ距離を北に向け、北極経由すれば、米国の首都に命中させ
ることができるぞ、との示威行動をした。

中国、韓国との国境問題のため、今年の秋はきな臭かった。
尖閣列島の魚釣島を、東京都が購入すると言い出し、領土問
題に火をつけたのは、石原慎太郎前東京都知事。

現在は、維新の会の党首として、この国の核保有化との言説
を吠えまくる。

大勝を告げられた自民党安倍総裁は、前回の政権放り出しの
責任はどこへやら、自衛隊を「国防軍」にと、口先は威勢がよ
く、軍事オタクの石破幹事長ともども、「軍事大国」化に余念が
ないように見える。

国防を増強すれば、赤字膨らむ国家予算が幾らあっても足り
ない。
金の話にとどまらない。

●選挙中から自民が復活すれば「赤紙が来るぞ!」とのフレ
ーズが囁かれていた。

就職難、非正規雇用の若者たちに、軍隊の雇用を準備して、
「国が若者の雇用を解決」とのシナリオの可能性がないこと
を、誰が保証できよう。

●こうした国内のざわめきに、人類学者の山際寿一(京大
教授)が、「新しい学問」で対抗する。
毎日新聞日曜2面の「時代の風」の寄稿。

題して「<暴力で平和維持>の誤解」「別の手段、模範を
日本が」。

山際寿一さんは、ノーベル平和賞の受賞者に首をかしげる
ことが多いと留保しながら、今年、EUが受賞したことに疑義
を呈する。

受賞理由は「戦争を二度と繰り返さないことを目的に行って
きた活動」。

アジアやアフリカで起こっている紛争は、もともと欧州列強
の植民地支配で民族が分断されたことが原因であり、いま
なお、土地や資源をめぐる争いに欧州各国が介入している
現実がなくなってはいないのだ。

●一方、米国大統領バラク・オバマ氏は、0912月ノーベ
ル平和賞を受賞し、「戦争はどのような形であれ、昔から人
類とともにあった」と述べた。

さらに平和を維持する上で、戦争は必要であり、道徳的にも

正当化できる場合があることを強調した。この言葉は、実行
され、アフガンへの武力介入の後、11年、アルカイダ指導者
ウサマ・ビンラディンを殺害した。

ノーベル平和賞は、なぜ、暴力を用いて、戦争を抑止する活
動に与えられるのか?

●「そこには、暴力は人間の本性であり、それを抑えるため
にはより強い暴力を用いなければならないという誤った考え
が息づいているように思う」。

この考えは第二次大戦終了直後に世界に広まる。人類は、
長い進化の歴史の中で狩猟者として成功し、獲物を捕らえ
るために用いた武器を人間へ向けることで戦いの幕を開け
た。

「戦うことは人間の本性であり、社会の秩序は戦いによって
作られてきた」とする考えである。

この説は南アフリカで人類の古い化石を発見したレイモンド
・ダートによって提唱された。ノーベル賞受賞者動物行動学
者のコンラート・ローレンツは、その説を後押しした。

戦争が人間の原罪であり、暴力は最初から人間とともにあ
ったとする考えは急速に世界に普及。「2001年宇宙の旅」
などのテーマとなって人々の心に深く根を下ろすようになっ
た。

●ところがその後明らかになった科学的事実はこれとは全
く違う。

人類は狩猟者ではなく、つい最近まで肉食獣に狩られる存
在だった。人間に近縁な霊長類が群れを作る理由は、食物
を効率よく採集するためと、捕食者から身を守るためという
ことがわかってきた。

レイモンド・ダートの主張した人類化石の頭骨の傷は、人類
によるものではなく、ヒョウに殺された傷跡と判明した。

強大な力を誇るゴリラさえ、オス同士の衝突で力の弱いメス
や子供が仲裁をする。

人類が同種の仲間に武器を向けたのは、約1万年前、農耕
が始まってからの出来事。人類の進化700万年のごく最近
のことにすぎない。

戦争が人間の本性だとは、とても言えない。そもそも狩猟と
戦争は動機が違う。狩猟は食べるための経済活動だが、戦
争は相手と合意するための自己主張である。

「今、日本では、近隣諸国とのトラブル防止のために武力増
強が必要との声が高まりつつある。

「しかし人間以外の動物は同種の仲間の争いを力で抑えた
りはしない。

ベトナム、イラク、アフガンなどアメリカの武力介入を受け入
れた諸国が幸福になった例はない。

「日本が武力を強めていく将来に私は強く異を唱えたい。世
界はそろそろ暴力とは別の手段を採用して紛争を解決すべ
きなのだ。

人間に対する正しい理解がその先鞭をつける必要がある。

これからの日本の政治はその範となることができると私は
信じている」。

以上、毎日新聞1216日(日)を、やまねこが抄録いたし
ました。

●戦争は、最大の経済的浪費であり、環境破壊です。金儲
けを企む陣営が、口実を作っては武器弾薬の売り場を求め
るのが戦争です。多くの場合、その場所は旧植民地の新興
国です。

それだけでなく、戦争が人間の本性であるかのような意見
がまかり通って、非戦の思想は、「女、子ども」のたわごとの
待遇を受けてきました。

コンラート・ローレンツの『攻撃』の流行は、まことに不愉快な
ものだったとやまねこは40年前を思いだします。

●この国の最大の財産、「日本国憲法」の精神を、護憲諸党
は、国連で主張し、諸外国に輸出普及したらいいのに。
やまねこはこう思ってきました。

だから文化人類学者が、なんとかして、「戦争人間本性論」を
否定してくれないか、待望していました。

そうして、ついに、山際寿一さんの説が登場。
小さな人類学的事実が、間違った解釈を受け、「戦争人間本
性論」が構築されてきた。
これからは、一日も早く、それを解除、解体してゆかなくては!

戦争を拒否する女たちが、国政の5割を占めなくては!

●反戦思想の出発点、山際寿一説のポイント


・人類は狩猟者ではなく、つい最近まで肉食獣に狩られる存在
だった。人類が同種の仲間に武器を向けたのは、約1万年前、
農耕が始まってからの出来事。人類の進化700万年のごく最
近のことにすぎない。

 ・レイモンド・ダートの主張した人類化石の頭骨の傷は、人類
によるものではなく、ヒョウに殺された傷跡であった。

強大な力を誇るゴリラさえ、オス同士の衝突の際、力の弱いメス

や子供が仲裁をする。

・ベトナム、イラク、アフガンなどアメリカの武力介入を受け入れ
た諸国が幸福になった例はない。


うらおもて・やまねこでした。

やまねこ通信242号 女性国会議員の多い国は、軍事費が少なめ

http://kyoko---fairisfoulfoulisfair.blogspot.jp/2012/12/blog-post_10.html


ちの男女共生ネットウェブページはこちらです。

http://ameblo.jp/gender-equality-chino






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