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2011年5月19日木曜日

ホテル客室係、西アフリカ出身、シングルマザー

@@@やまねこ通信83号 @@@


 フランス社会党の大統領候補であったストロスカーン氏、ユダヤ系フランス人
 国際通貨の番人IMF専務理事が、個人的な用事で訪れた
 ニューヨーク高級ホテルのスイートルームで、客室係の女性に対する
 強姦容疑を追及されている。


 国外脱出に失敗、100万ドルにも上る保釈金を支払いを却下され、現在ニュー
 ヨーク州ライカーズ島の拘置所に収容されている。


 報道の中心はすでに、容疑者ストロスカーン失脚後の政局に転じている。
 IMFの受ける汚点、今後の威信回復、次期専務理事の人選、おそらくアジア人
 であること、フランス社会党が、事件後なお、サルコジの政党よりも多数の票を
 集めそうであること。


 被害者の事情については、報道が少ない。
 


 被害者の女性:

 女性は西アフリカ・ギニア出身で、約7年前にニューヨークに移住した。
 15歳の娘を育てながら働くシングルマザー。
 夫はすでに亡くなっているという。
 この事件のため、これまでの生活が一変した。


 被害女性は、ストロスカーン容疑者がバスルームから全裸で現れ、
 性的暴行を加えてきたと話している。


 弁護士ジェフリー・シャピロ氏は17日、CNNテレビに対し、「彼女のトラウマは
 計り知れない」と語り、女性が事件後も苦しみ続けていると明らかにした。


 「事件の後、彼女は家に帰れず、仕事にも復帰できない。
 将来がどうなるか全く見えていない。
 彼女は精神的に完全に参っている」と事件が深刻な影響を与えたと強調。 
 「ワナ説」もある中で、果たして、被害女性は、ホテルの宿泊者が
 ストロスカーンであることを知っていたのだろうか。


 弁護士が17日、明らかにしたところでは、被害女性は、事件の翌日に
 なるまで、相手の男が同専務理事だったことに気付いていなかったことが
 分かった。


 弁護士はロイターに対し、「彼女は相手の男が誰だか分かっていなかった
 し、事件前にも、(ストロスカーン容疑者との)付き合いはなかった」と説明。

 身元が分かったのは「女性の友人が電話をかけ、女性に『誰だか
 知ってるの』と尋ねた」からだと話した。

 またシャピロ氏は、女性が事件以来、ニューヨーク市内の自宅に戻って

 いないことを明らかにし、「彼女は自分の身に何か起こるかもしれないと
 感じており、身元を明らかにしたくないと思っている」と述べた。



裁判に出廷:

 被害を訴えられたストロスカーン容疑者は16日、ニューヨークの裁判所に
 初出廷し、無罪を主張。

 一方検察側は、同容疑者が女性に暴行を加えた上、強姦しようとしたが
 失敗し、オーラルセックスを強要したと主張した。



米国警察の対応:


 警察は、ホテルの部屋から加害者のDNAを採取した。
 

 警察によると、性的暴行容疑は外交特権が適用されず、有罪が確定
 すれば、15年~20年の禁固刑が科される可能性がある。
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、警察は現場となったホテルのスイートルーム
 からDNAを採取した。

 
 「津山恵子のアメリカ最新事情」によれば、米国警察に課された責任は、
 著名な政治家が容疑を受け、「ワナ」との説もある中、司法制度がどれほど
 公正で説得力ある「訴追」ができるかにかかっているという。

 警官による暴力事件の多い、米国では、市報の信頼が揺らいでおり、今回の
 事件で信頼性を回復を迫られている。

  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110518-00000001-wsj-int

 
 事件の反応:

 以上が、現在伝えられている事件の概要である。
 事件報道の最大の関心は、何よりも、「ワナ」だったのではないか
 ということである。
  
 フランス大統領に選出される公算大の優秀なエリート男性が、
 まさかこのような不道徳な行動をするなんて。


 社会秩序を重視する側の人々にとって、見たくないことが起こった。
 こんなことは嘘だと言いたいのであろう。
 これでは著名人の罪を実質的に擁護していることになるだろう。


 しかしストロカーン氏の罪を擁護する意見ばかりではない。


 CNNで番組のアンカーを務め、外交に詳しいファリード・ザカリア氏は、
 ストロスカーン氏は「頭がよく、彼との会話は知的だ」と証言したうえで、
 
 「わなということであれば、大勢の人が関わることになる。今までのところ、
 そういった状況ではなさそうだ」と述べた。

 オーストリアのフェクター財務相は、記者団に対し、専務理事は自分の
 行為がIMFにどう影響を与えるのかをよく考えてみるべきだとし、
 「専務理事はIMFにいかなる打撃も与えないように行動する必要がある」
 と語った。

 スペインのサルガド財務相は「当面は司法の手に全て委ねなければなら
 ないが、容疑は極めて厳しいものだ」とし、「もし事実なら、私はまず第一に
 被害者となった女性と」の結束を強調すると語った。

 

そこで、何が問題なのか?


 IMFはいくたびも、ストロスカーン容疑者の性犯罪を見逃してきた。
 「ワナ説」は、性犯罪見逃しの、社会的スキームではないだろうか。

 ストロスカーンは、周囲の人々には周知の、知る人ぞ知る問題人物
 だったとやまねこは確信している。
 
 その能力や地位のゆえに、これまで犯罪が見すごされてきたの
 だろうか。
 だとしたら、IMFの責任は重大であろう。
 日本社会でも、似通ったケースがなかっただろうか。
 いくつも思い浮かべることができるだろう。

 話は変わるが、ギリシア神話のゼウス、旧約聖書の神は、奴隷という
 より、オモチャである人間を、殺そうが、切り捨てようが、強姦しようが、
 しほうだいであった。

 古代帝国や封建時代のように身分差の激しい社会では、皇帝や
 殿様が下々の命を、ゴミのように切って捨てることが出来た。

 しかし今日、私たちが生きるのは、法制度の整備された近代社会である。
 はたしてその中で、、「特権的エリート」は何をしても許されるのだろうか?

 
 殺人はどうか。
 これは逃れられないだろう。

 傷害ならどうか。
 これも、歴然とした傷が残るから許されないだろう。
 
 強姦は、どうか。
 命を奪ったのでないから、罪が軽いのだろうか。
 被害者が軽傷を負った。
 重傷ではないから罪が軽いのだろうか。

 罪は、肉体に及ぼされる傷害だけに与えられるものだろうか。
 魂や人格の尊厳を殺した場合の罪は、肉体の命を奪った場合に比べて
 軽いのだろうか。

 エリートだったら、何をしても許されるのだろうか。
 もしも今回、このような前例が示されたら、世界中の若者たちに及ぼす
 マイナスの教育効果は、計りしれないだろうとやまねこは考える。
 
 「能力」や「地位」があれば、世間の道徳などに縛られないてすむ。
 「倫理」は自前で作る。

 こうしたミニ神様たちが、日本社会にだってすでに多数生み出されている
 現実にしっかり目を向けよう。

 偏差値秀才、K大医学部の集団強姦事件、大学の性暴力サークル
 の事件は忘れられたのだろうか。

 一人の性犯罪をおかした「エリート男性」をきちんと処罰することが、
 最も大きな教育効果を世界中に及ぼすことが期待できるのだ。

 余人をもって代え難い「高い地位の人物」だからこそ、罪に対して、
 しかるべき処罰を受けるかどうか、世界が注目しているのだ。
 IMFだって、責任を追及されるべきではないか。
 
 「能力」や「地位」と「倫理」を天秤にかけられるかどうか、
 世界の若者たちが注目している。

 
 逆に、もしも、「ワナ」だとしたら、そこにおいても、女たちの魂や人格の
 尊厳が軽視されていることに変わりはない。

 なぜだろう。


 強姦事件は男性の失脚を招く。


 しかし「女の側は、大した被害ではない。夫のいないシングルマザー、
 犠牲にするには、格好の人物。慰謝料をふんだくればいいだろう。
 相手はどうせ、女ではないか」。


 これが強姦を擁護、黙認する男性社会のホンネなのだから。
 この場合、女は男を失脚させるための道具である。
 
 強姦事件が新聞やテレビをにぎわす大事件になるのは、加害者である
 「男性」の名声、名誉が損なわれたためである。
 被害「女性」の名誉や尊厳のためではない。

 だから、もともと社会的名声をもたぬ一般男性が強姦の加害者に
 なった場合、メディアはほとんど顧慮することがない。
 
  うらおもて・やまねこでした。

2 件のコメント:

  1. アホな♂どもよ~オンナは口説いてからにせよ!

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  2. 魔女様
    コメント有難う。
    相手の女性が、自分と対等な人格であると思った時、初めて男性は女性に礼儀正しく気持ちを訴え相手の意向を尋ねます。
    これが「恋物語」の発端ではないでしょうか。
    要注意人物ストロスカーンであっても、現在の妻テレビジャーナリスト始め、以前の妻たちの愛を獲得するためには、様々な手を尽くしたに違いありません。
    「教養」も「知性」もある男性、文明の理法をご存じのはずです。
    ところが同じ人物が、手順をまったく省略して、未知の女性に対して、「野蛮」にも、バスルームから出てきて突然に襲いかかる。
    妻や恋人に対するとまったく別の行動なのでしょう。
    男性のこうした「野蛮」な行動は、「英雄色を好む」と、封建時代の言葉で承認されてきた長い歴史があったのですね。
    鹿狩りすると同じに、農民を殺し、娘たちに襲いかかる支配者たちの野蛮な行為。
    こうした男性の「野蛮」を、「文明」の究極である国際金融機関のトップが内蔵しており、それを抑制できないのだと思います。抑制が自分でできないのだったら、「野蛮」は司法制度にゆだねられるのが「文明」の理法でしょう。
    魔女たちが力を合わせて、こんな人物を何とか懲らしめたいものですね。

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