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2011年5月28日土曜日

徳永直『はたらく一家』と非正規雇用の若者たち

@@@やまねこ通信89@@@

やまねこたちの仲間は、茅野市男女共同参画講座というセミナーを
年に6回開いている。映画をテキストに使い、ジェンダー意識を敏感に
する学習を重ねている。

『はたらく一家』
明日528日は第17回『はたらく一家』(1929年)演出成瀬巳喜男、
原作徳永直がテキストである。

「男子は軍人、専門職志願、女子には
どんな夢があったのか? そして、母は?」

このタイトルのもと、「将来の夢」のジェンダー差に注目する。
さらに、男子の夢に共感を示さないように描かれている母ツユが、
どんな日常を生きているのかを考える。

父も、息子たちも、貧しい中にも「自由時間」がある。しかし母は、
台所と赤ん坊の世話、老親の介護に朝から晩まで忙殺されて1日を終わる。

夫の収入だけでは食べて行けず、義務教育を終えた子どもは3人とも、
父と肩を並べて働きに行く。米櫃の底を覗きこみ、明日の心配をする
なかで、とても主体的な考えなどもてはしない。

こうした事情を顧みることなく、「男は大局的に物事を考えるが、
女は身近なことしか見えず、世界が狭い」などと、男女の本質論、
父役割と母役割の決定論などを決めつけられた日にはたまった
ものではない。

これまでは主に、女性の生き方、その障害となる家族的社会的要因、
どうやったら障害を取り除くことができるかなどを、テキストを題材に
考え、討論して来た。

非正規雇用の若者たちの生き方
けれど、前回からは、若者たちの雇用が厳しくなり、特に非正規雇用が
多い社会的現実に正面から向き合うことにした。
むしろそこにこそ男女共同参画の政策が切実に必要不可欠なのではないか。
その方向に、われわれの講座は、大きく舵を切りつつある。


その中で「平成22年度結婚・家族形成に関する調査報告書」が内閣府
から出されたことに気づいた。

20代、30代の若者たちは、「結婚」「交際」についてどんな意識を
もっているのだろう。
20代、30代の若者たちの所得や雇用のありかたは、「結婚」「交際」と
どんな関係にあるのだろう。


男性の結婚年収300万の壁?

内閣府の調査目的は少子化の要因を調査することである。
すると「未婚化」「晩婚化」「非婚化」が浮かび上がった。
調査対象は、学生を除く2030代の男女。
そのうち、約8割が結婚を望んでいるが、希望と実際では多いな差が
見られるという。

年収300万円未満の層で既婚者は、
20代男性、8.7%、30代で9.3%。
一方、年収300万円以上400万円未満の層ではそれぞれ25.7%、26.5%。
年収300万円を境に大きな差が出ていることがわかる。


20代男性で35.5%、30代で33.6%と最も高い。
年収の低さと、交際経験の少なさが正比例している。

これとは逆に、「交際経験なし」の割合は、年収300万円未満の層が
高くなっている。

ちなみに、年収300万円未満に、「収入ゼロ」「100万円未満」の人々も
含まれている。


雇用形態別にみると、正規雇用の20代男性の既婚率は25.5%、
30代では29.3%。

非正規雇用では20代男性4.1%、305.6%という結果に。
大きな格差が見えてくる。

-family/pdf-zentai/s2-1-2.pdf

以上のような調査報告を共有する予定である。

ところで「平成22年度結婚・家族形成に関する調査報告書」
は、若者たちの交際や結婚について、さまざまなことを教えてくれる
情報の宝庫であることが分った。
次回は、さらに掘り下げることにいたします。

うらおもて・やまねこでした。

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