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2013年4月27日土曜日

やまねこ通信268号:クレーン車暴走事故、母親にも賠償責任を地裁判決、三 菱自動車リコール隠しの監督責任は?


@@@やまねこ通信268号@@@

クレーン車暴走事故、母親にも賠償責任を地裁判決、三
菱自動車リコール隠しの監督責任は?

てんかんの息子が薬を飲み忘れることを知っていた母親
の監督責任を問うた原告。宇都宮地裁は母親の賠償責任
を認定した。

柴田受刑者は薬を飲むことで発作を抑えねばならなかった。
ところが時折それを忘れた。子どもが薬を飲んでいないことを
母親は知っていた。

罪のない6人の子どもたちの遺族たちのもって行き場のない
怒り。なんとかして防げなかったのだろうか?母親は危険性を
知っていたではないか。この怒りの妥当性を地裁が認めた。

栃木県鹿沼市で児童6人が死亡したクレーン車暴走事故で、
元運転手、柴田将人受刑者(28)の母親の賠償責任が24日
認定された。

次は、やまねこ通信76号の投稿からの引用です。
「クレーン車事故の加害青年の働く「権利」

「持病、話せなかった」と容疑者の母が会社に出した手紙
が公表された。

 「持病などを隠した結果、迷惑をかけた」と母親は謝罪
しつつも、
 「持病や執行猶予中であることを(親子で)隠した。
 心苦しかったが、息子が喜んで働いている姿に本当のこ
とを話せなかった」と告白。

 事故の後、自分が経営する店を閉めることになった。
 「一生かけて償う。許してください」と母は結んでいる。
(引用以上)
 
●子どもが喜んで働いているのを見て、必要な処置を怠った母親。
6人の児童の命は帰らない。そればかりではない。薬を服用してい
るてんかん患者たちの職業の機会を危機に陥れた。鹿沼の加害者
の母親の私的幸福は、公的被害を生んだ。

京都市東山区の祇園暴走事故が2012年起こっている。
その遺族、奥村順子さん(66)=京都市右京区=は「母親は、(元
運転手が)薬を飲まなければいつ事故を起こすか分からないこと
を一番知っていたはずなのに何も手を打っておらず、地裁の
判断は当然」と評価。

08年にてんかん発作で意識を失った運転手のトラックには
ねられ、中学2年の長男拓也さん(当時14歳)を失った横
浜市鶴見区の伊藤真さん(49)も一定の評価を示す一方、
元運転手以外の刑事責任を問えなかったことなどを指摘。

てんかん患者が一定の基準を満たせば就業可能になることは
良いことだ。けれど、監督責任を家族だけに任せるのか。家族
失ったり同居していない患者の場合、どうしたらいいのだ
ろう?
このことが問われているだろうか?

●この判決とほぼ同時に、三菱自動車のリコール隠しが報道される。

社説:三菱自リコール 隠蔽体質の改善を急げ
毎日新聞 20130425日 0232分 ウェブ版

 多くの消費者が、あきれかえったに違いない。
 三菱自動車が、軽自動車の欠陥情報を適切に提供していなか
ったとする報告書を国土交通省がまとめた。同社は過去2回の
リコール(回収・無償修理)隠しで信頼を失墜し、再発防止に
取り組んでいるはずだった。徹底した原因究明と隠蔽(いんぺ
い)体質の抜本的な改善を急がなければ、地に落ちた信頼は戻
らない。

 報告書によると三菱自は2007年以降、販売店からエンジ
ンオイル漏れの不具合情報を受けながら十分に確認せず、同省
には「不具合ゼロ」と報告していた。原因究明にも消極的で、
「リコール不要」と社内で決めた後、実質的に2年以上も究明
作業をしなかった。

 三菱自の社内調査では、オイル漏れの欠陥を最初に把握した
05年から、リコールを届け出るまで5年半以上かかったこと
が分かっている。さらに、リコールを届け出るたびに社内から
「対象車の範囲が不十分」との内部通報があり、リコール台数
が膨らんでいった。企業としてのモラルの欠如は目を覆うばか
りだ。

 同社は00年に、大規模なリコール隠しを行っていたことが
発覚した。04年には、大型トレーラーのタイヤ脱落による母
子3人死傷事故に絡み、グループ会社のリコール隠しが明るみ
に出た。

 自動車の欠陥は、人命に関わる重大事故に直結しかねない。
不具合の情報は、いち早く利用者に伝えなければならないもの
だ。

 ところが、2度のリコール隠しで消費者離れが進んだ当時の
三菱自は財務体質が悪化し、三菱重工業など三菱グループ各社
から計数千億円規模の資金支援を受けるほどに追い込まれてい
た。今回問題になったエンジンオイル漏れを最初に三菱自が把
握したのは、まさにそのころ。情報提供より経営を優先したと
すれば、許されないことだ。

 同社は2度の不祥事を踏まえて経営を刷新した。しかし、教
訓は再出発の当初から生かされなかった。つまずきの原因の一
つとして、経営に外部の目を取り入れなかったことが指摘され
ている。再発防止には、グループ会社にとどまらず外部の目を
活用することも検討すべきだろう。

 国交省は今回、法令違反が確認されなかったとして三菱自に
行政処分は科さない方針だが、改善策をまとめるよう指示した。

 同省は04年の三菱自の不祥事などをきっかけに、情報収集
体制の強化や監査体制の強化といったリコールに絡む不正の再
発防止に取り組んできた。長期にわたって問題を把握できなか
った今回の反省を踏まえ、一段の対策強化を求めたい。

鹿沼の事件は「私的幸福」の領域逸脱を地裁が裁いた。
三菱自動車の事件は「私的利益追及」の領域逸脱である。

上記の毎日社説が書くように、同社は00年に、大規模なリコ
ール隠しを行っていた。04年には、大型トレーラーのタイヤ
脱落による母子3人死傷事故に絡み、グループ会社のリコール
隠しが明るみに出た。

日本を代表する企業のグループぐるみの犯罪。どうしてこのよ
うなことがまかり通るのだろう。

欠陥商品は、買わなければそれで済む。消費者が市場で審判す
るから売れない商品を販売した企業はつぶれる。

ところが、この責任ある企業がこの国最大の巨大資本によって
支えられている。結果、消費者は、自分が買わなくても、他者
の利用する欠陥車という走る凶器によって命が危険にさらされ
る。

エンジンのオイル漏れは小さな欠陥だろうか?

誰が責任を取るべきか。国である。管轄責任ある国土交通省で
ある。国交省は企業を守るために仕事しているのだろうか?市
民の命の安全を守るために、訴訟が必要なのだろうか?

●この矢先、新規就航と同時に火を噴いて運行中止になったボ
ーイング787が就航することに。原因の解明が終わらぬまま。

ボーイング社と同機の最大の購買者、日航、全日空の「私的」
損失を、「公的」に償うための対応と見える。
消費者は乗らない選択ができる。けれど、航空便は目的地によ
って認可されているから、利用者は選択の可能性がない。

地域割りの電力会社と同じだ。ここに、利益至上主義と利権が
生まれる。

この責任者たちははたして、ボーイング787機を利用するの
だろうか?おそらく賢明な責任者たちは乗らないだろうとやま
ねこは思うのであります。

てんかん運転者の母親の責任が問われるのは必然であり司法が
健全な役割を果たしたと思う。

けれどこの力が、大きな利益追求集団、三菱自動車、それに監
督官庁の国交省の責任追求に向かわなかったら、市民は浮かば
れないままである。


うらおもて・やまねこでした。

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