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2013年4月3日水曜日

長嶋茂雄の栄光に重なる岸=安倍一族の「偉大な時代」


@@@やまねこ通信260号@@@

4月になりました。今年も4分の一が過ぎたのですね。

長嶋茂雄と松井秀喜が国民栄誉賞を受けた。
どうして今頃?

元横綱大鵬が死去し、偉業を偲んで栄誉賞が送られた時、
生前に賞をあげたらよかったという声があがった。

大鵬の告別式で王貞治氏が「巨人、大鵬、卵焼き」と呼ば
れたものだと弔辞を述べた。やがてこのフレーズが反復さ
れ、当時を回顧するテレビ番組をNHKが流した。

政府はその時々の人気取りのために国民栄誉賞をこれま
発行してきた。今回、支持率が高いことを伝えられる安倍
内閣が栄誉賞を出すことに対し、「なぜ、今なの?」と懐疑
の声が上がっている。

●答えは安倍首相の祖父、岸首相にあるとやまねこは考
える。

長嶋茂雄が読売ジャイアンツに入団したのは1958年。巨
人阪神戦でサヨナラホームランを打った天覧試合は59
である。

1960年安保締結に対して多数の市民が連日国会を取り
巻いて「安保反対」を叫び、国内は騒然としていた。この最
中、岸首相は後楽園球場が満員の観客を集め、テレビの
野球中継に人々が夢中であるとして、「声なき声が岸政権
を支持している」と語った。

読売巨人および長嶋茂雄、さらにプロ野球の選手たちは、
岸首相を支持する人々のアイドル集団とみなされたのだ。
1954年〈昭和29年〉生まれの安倍首相は、当時6
だった。

当時は経済の高度成長のただ中であった。
それは1954年(昭和29年)12月から1973年
(昭和48年)。この中、1964年には東京五輪が
開かれ、1970年には大阪万博が開かれた。19
68年に日本は、GNP世界2位となり、戦災の焼け野
原から23年間の急速な復興は「東洋の奇跡」と呼
ばれた。

東京五輪の翌年1965年(昭和40年)から、読売
ジャイアンツは1973年(昭和48年)まで連続9回、
プロ野球の日本一になった。これはV9と呼ばれてい
る。

60年安保強行採決以後、所得倍増、64年東京五輪、
70年万博、19年間の高度成長期と、読売ジャイア
ンツのV9の時代はぴったり重なっている。

これは戦後の貧しい生活から足を洗い、家庭に入って
くる電気製品が、「幸福」の指標となった時代だった。

●高度成長初期の1958年(昭和33年)東京タワー
が完成した。その時代の東京下町を舞台とした夕日町
三丁目に暮らす人々のほのぼのした交流を描いた漫画
とその映画化『ALWAYS 三丁目の夕日』は2005年に封切
られ、大ヒットした。、

90代内閣総理大臣だった安倍晋三はその著書『美し
い国へ』(文藝春秋)の中で、「映画『三丁目の夕日』
が描いたもの」として、美しい国のモデルとしたという。
男が男らしく、女が女らしかった時代と語り伝えられら
れている時代である。

20074月に中国の温家宝首相が日中会談で安倍晋三に
会った際、『三丁目の夕日』を観たと語り安倍首相の歓
心を買ったほどである。

●東条内閣で商工大臣を務めた岸信介は48年まで戦犯
として巣鴨拘置所にいた。冷戦激化するなか米国が「逆コ
ース」に転換したため、53年に衆議院議員に復活。5
6年外務大臣、57~60年首相を務めた。

『三丁目の夕日』が描いた時代こそ、戦後の岸首相の活
躍の時代にぴったり重なっているのだ。

首相として「大きな決断」をした祖父の周囲で子ども時
代をすごした安倍晋三にとり、『三丁目の夕日』の時代
こそ、岸=安倍一族にとっての「偉大な時代」だった。

立教大学のスター選手だった長嶋茂雄は1958年、読
売ジャイアンツに入団。岸=安倍一族の「偉大な時代」
と長嶋選手のデビューの年が重なっている。

●結論を言えば、岸=安倍一族の「偉大な時代」のヒー
ローであった長嶋茂雄の受賞に際し、安倍首相は偉大な
祖父と自己を同一視し、至福の思いにふけることができ
るであろうということである。

●ところが、一族の「偉大な時代」、米国の核兵器輸出
計画の別名「原子力平和利用」が、正力松太郎の読売新
聞でのキャンペーンのため人々に認知されるようになっ
た。これが原発への道を開いた。

正力松太郎は57年、岸内閣で国務大臣、科学技術庁長
官、原子力委員長を務めている。

●3.11後、東電福島原発の事故現場、広範囲に及ぶ
被災地の放射性物質、被災者の暮らしの再建など、山積
する問題が何も片付かないまま2年が経過している。

その中で、原発のなかった『三丁目の夕日』の「美しい
国」の夢、一族の「偉大な時代」の栄光神話を振りまい
ても首相の私的な至福の思いに役立つ以外、現実は何も
変わりはしない。

リアリストであるはずの政治家が、過去の栄光の夢を必
要とする時って、どんな時だろう?
何か、見えない事柄が権力者の側に進行しているのでは
ないだろうか。
この懸念がやまねこの結論です。


うらおもて・やまねこでした。

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